大変残念なお知らせです。
ツイッターのほうでは先にお知らせしましたが、三笠書房のf-clan文庫が休刊とあいなってしまいました。
レーベル発足からまだ半年ほどしか経っておらず、ようやく作品数も揃ってきて、さあこれから、という時だっただけに本当に残念で仕方ありません。
レーベル休刊に伴いまして、三月に出たばかりの『プラネット・サファリ』の続刊ですが、いまのところ、いつどこから出るか等、未定となっております。続きを出せる方向で、とは思っておりますが、楽しみにしてくださっている皆さんには、本当に申し訳ありません。
実は執筆のお話をいただく前まで、もうライトノベルのレーベルでは新作を出すつもりはありませんでした。(ラノベで書くべきことは)書き尽くした、という気持ちでいましたし、ちょうど一般向けのレーベルさんから声をかけ始めてもらっていた時期でもあったので(コバルトで継続中のシリーズもありますし)もうラノベでの新作はいいかな、と……。
ですが、f-clanの編集Nさんに初めてお会いした時、レーベルコンセプトや「桑原さんにはこういう読者向けに書いて欲しい」という明確なお話をいただき、強く共感しまして「及ばずながら力になります」とお仕事をお受けして、いざ書き始めてみて「自分はやはりこのジャンルが好きなのだなあ」と実感することができました。オンダ先生という才能のあるイラストレーターさんとお会いすることもできましたし、「まだラノベで書きたいこと、こんなに出てくるじゃない!」と自分発見もしましたし。それに今時女性向けラノベであんなガチなアクションを喜んで書かせてくれるところがどれだけあるだろうと思うと、本当にありがたかったり…。
新しいレーベルは、軌道に乗るまで、最低でも三年はかかるといいます(それは出版業界ではほぼ共通の認識だと思います)。今の出版業界の厳しさを鑑みれば、すぐに結果が出るほうが奇妙ですし(私が新刊を出した3月でまだレーベル自体の存在すら知らない方が多かったですし…)、売れ線にのっかるだけならばともかく、信念をもち独自のコンセプトのもと新しいレーベルを作り上げていくには、根気強さと、それなりの時間を要する。そういう覚悟が必要なのに、恐らく現場の認識と上の方の認識に、乖離があったのかなと……。
つくづく物事を育てるには難しい時代になったのだと感じます。
まあ、他にも色々と理由はあるのでしょうが…。ジャンルの傾向が偏りラノベ自体から離れてしまっていた読者さんから「こういうレーベルを待っていた」という熱い声もあったと聞きます。
「数だけを見て意味をみない」
そういう風潮がはびこる中、せめて、読者の皆さんには、自分が「いい」と思うものを信じる姿勢を保ち続けて欲しいと思います。
※なおレーベル公式サイトでの発表はまだありませんが、ツイッターの出版社アカウントのほうで見解がございましたので、お知らせさせていただきました。