Diary

2021年12月の日記

今後の予定&「赤の神紋」読み放題

  • 2021/12/24 18:00

メリークリスマス!
イブの夜、皆さん、いかがお過ごしですか。
さて、今後の予定です。

2月4日 単行本『荒野は群青に染まりて 暁闇編』(集英社)
       装画/Re°先生

大変お待たせしました。
『青春と読書』で連載いたしました『荒野は群青に染まりて』が上下巻にて単行本になります。
連載しておりましたものは「暁闇編」と名付けて、上巻。
さらに書き下ろしにて下巻を発売する予定です。
そして装画は連載時に引き続き、Re°先生が描いてくださいました。
カバーイラスト、とても素敵です!
ぜひお手にとってくださいませ。

そして、もう一件。
本日よりWEBマガジンコバルト内にて年末年始特別企画『赤の神紋・全巻読み放題』が始まります。
シリーズ14巻+番外編2巻がすべて期間限定・無料にて読み放題できます。
本日12月24日から1月6日まで。
コバルト文庫太っ腹です。
1999~2008年にかけて書いたシリーズ。
「舞台演劇の世界」で表現や創作に打ち込む登場人物の情念を、ほとばしるような筆致で描いてます。
これを書いた頃は、当時の荒ぶる心にようやく筆力が追いついてきた、そんな時期でした。
作家・連城響生と役者・葛川蛍、天才劇作家にして演出家・榛原憂月、
この三人の奇妙な三角関係を主軸に、ケイのライバル・ワタル、連城の親友・奥田、榛原の盟友・藤崎ら、みんな熱量の高いキャラばかり。
年末年始の慌ただしい時期ではありますが、ぜひ一気読みなさってみてはいかがでしょうか。
熱い神紋の世界を体験してみてください。

2021年もありがとうございました。その1

  • 2021/12/31 14:23

師走の慌ただしさを経て今日で2021年もおわりですね。
あっというまだった2021年を振り返りたいと思います。

今年は小説が2冊、マンガが2冊。発売されました。
『遺跡発掘師は笑わない』シリーズからは「九頭竜のさかずき(福井編)」と「三体月の呪い(和歌山編)」の2本書き下ろしました。
無量シリーズは様々な土地が舞台になるので、下調べに時間をかけるので、半年に1本でも結構な忙しさになります。
福井では「化石発掘」という分野が題材でしたし、和歌山では「能」が題材でした。どちらもとてもディープな世界なので知る楽しさもありましたが、問題はそれをどう、現地からの「出土物」とからめていくか。
毎回難しいことやってるな!と我ながら思いますが、それらがぴたっとはまったときは本当に胸がすく思いがします。
私は小説を書いているとたまにびっくりするような偶然に助けられるのですが、今回もそれがあり、まるで目に見えない誰かに導かれたようでドキドキします。こんなことってある!?と。
遺跡発掘師シリーズは来年も書かせてもらえることになりましたので、続編もどうぞお楽しみください。
残りの時間は『荒野は~』の下巻を書いてました。
……これがなかなか、初めて挑戦する分野のお話で。
文字通り「格闘」している感じです。
なかなか前に進めず、書いては戻り、書いては戻り、という日々か何ヶ月続いたことか。
登ったことのない難ルートの岩壁でもがいているような状況ですが、なんとか登り切ってみせる所存です。羽生選手だって四回転半に挑戦してるんだから、などと自分に言い聞かせ、これも挑戦。がんばります。

そしてコミカライズの『炎の蜃気楼R』は、私は監修という立場でしたが、浜田先生のハードな毎月連載を陰ながら応援させてもらっていました。
原作2巻から3巻の仙台編へ。
仙台編はメディアミックス化は初めてなので、とてもワクワクします。
さっそく現在、伊達政宗らの伊達組の皆さんが登場し、浜田先生の真骨頂のような大人の男の色気をふりまいてくれています。すてきです!
そろそろ高坂も出てきますし、大変楽しみ。
とはいえ毎月連載はとてもハードですので、浜田先生、くれぐれもお体大切になさってください。無理をせねばならない仕事だとは承知しつつ、どうぞ無理をしすぎることのないよう。ご自分のペースで。
(→長くなりましたので続きます)

2021年もありがとうございました。その2

  • 2021/12/31 15:29

そして13年間続けてきたノベル大賞の選考委員を2021年度にて退任いたしました。
そろそろ執筆に専念したいと言う理由でしたが、もうひとつには、選考委員の新陳代謝も必要であろうというもので、自ら交代をお願いいたしました。少し前から退任の意向を伝えておりまして、後任の方に関しまして私のほうからもどんな方がよいかなど少し意見を述べさせていただき、無事に決まったところで、はれて今年度で退任という形になりました。
選考会はひとつの作品についてプロとプロがその善し悪しについて意見を述べ議論する場です。時に歯に衣着せない意見の応酬になることもあります。
元来話すのが苦手でそのために小説家になったような私は、選考会のような場所は心底苦手で、弁舌豊かな皆さんに囲まれて当初は地獄のようでしたが、場数をこなすにつれて(前半は年二回でした)ようやく場慣れして、肩の力をぬいて、本音のぶつかりあいや駆け引きを愉しめるまでになりました。
新しい才能を選ぶことには大きな責任を伴います。そのひとの人生を変えてしまうかもしれないからです。選ぶことにも責任が、選ばないことにも責任が伴います。それぞれがプロとしての経験と矜持をもって述べる評には重さがあり、私はその場でたくさんの学びを得ました。
他の誰もが気づかなくて、或るひとだけが気づいた「その作家の良さ」が、劇的に選考の場を動かすこともある。
いま振り返って本当に貴重な場に身を置くことができたと思います。編集部の皆さんには心から感謝いたします。
私とともに13年選考委員の任に付いた三浦しをん先生(今では直木賞の選考委員もされてます)には「あとはよろしく!」という感じでおまかせし、この先も続投してくださいますが、彼女がいてくれれば私は安心なので、その熱い魂を若手に継承していってほしいです。
吉田先生の誰もがうなる劇作理論、今野先生の目配りの効いた切れ味鋭く細やかな批評眼、……どれもこれも目から鱗が落ちるばかりでした。
ありがとうございました。
後任は似鳥鶏先生です。来年度は特別審査員でなんとカズレーザーさんも参加されます。楽しみですね!おふたりともよろしくお願いします。
作家を目指す皆さん、どしどしご応募ください。

そして私が担当した選考をきっかけに、作家デビューを果たした皆さん。
これから先もその活躍を見守って、応援しています。
大きく花開いてください。

というわけで今年もコロナに振り回された一年でしたね。すっかりマスクが顔の一部となりつつありますが、来年は唇に風を受けて大きく息が吸えるようになることを祈ります。

最後にこの一年も桑原作品を読んでくださった皆さん。
本当にありがとうございました。
楽しんでいただけましたでしょうか。
感想をくださった皆さんもありがとうございます。なかなかお返事はできませんが、ありがたく心に刻ませてもらっています。嬉しいです。
がむしゃらだった日々を経て、いまようやくじっくりと腰を落ち着けて、創作と向き合えているように感じます。ようやくここまで来れたなと。
がむしゃらに自分を追い込む日々があったから、いまがあるのだと思います。じっくりと挑戦できる環境がありがたいです。
執筆をする意味は私にとっては「生業だから」と言えるくらいには年月を重ねました。
ただ小説を書く意味は結局のところ、人間を描くということに尽きると思います。当時よりも土台は広がり、人間を見つめる作業も、ただただ感情を掘削するだけではなく、そのひとが生きる時代や社会そういうものに筆を広げて、その中で生きる人間の「生き様」を描きたい。
これも挑戦です。
その挑戦を見届けてもらい、来年も皆さんに楽しんでいただけますように。
ありがとうございました。

それではみなさま、
良いお年をお迎えくださいませ。 

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