Diary

2025年を振り返って その2

  • 2025/12/30 16:17

(→続き)
また、今年はトークショーなどのイベントに登壇する機会が三度もあり。
一回目はよみうりカルチャーさんでの新井素子先生とのトークショー。その流れでなんとミラージュ35周年イベントまで開催されることになり、我ことながらびっくりしました。でもその結果、久しぶりに読者の皆さんと直接お目にかかれて声を聴き、皆さんのミラージュへの思いを受け取ることができました。
また富田翔さんの一人芝居でも原案担当として千秋楽アフトに顔を出させていただき、舞台にたずさわる喜びを再認識することができたと思います。舞台「炎の蜃気楼 昭和編」シリーズが結んでくれたご縁でした。

昨年そのミラージュの舞台の制作会社が倒れるという思ってもみない事態にみまわれ、Blu-ray BOX購入者の皆さんには大変なご心配とご心労をおかけしてしまいましたが、関係各位の尽力により、どうにか制作を続け、お手元に届けることができました。
つとめを果たせて安堵もしましたが、関係者の皆の中に、このままで終わってしまってはいけない、という気持ちも残りました。それを形にするために何ができるか。
またそれ以外のところでもコバルト50周年の節目ということで、もしかしたら、来年もどこかで皆さんとお目にかかれる機会があるかもしれません。
水面下では色々動いておりますので、発表をお待ちくださいませ。

そのようなわけで、個人的にこの一年ははじめのほうはだいぶ精神的なタフさを求められましたが、果たさねばならないことを果たした後は、徐々に執筆も楽しめるようになり、引きこもりがちだった私が不思議と外へ外へと出て行くようになった感じがしました。

原稿が最優先ですので、じっくりこもるときはこもりつつ、時々陽の光のもとに出て。
今しかないこの瞬間、今の自分が表現したい物語を見つめて、それらを形にしていくことに全力投球していきたいと思います。

皆さんの応援や発信が力となっています。ほんとうに。
その力に背中を押され、物事が実現するさまを目の当たりにし、
読者の皆さんの応援の力というものを心から実感する一年でした。
ありがとうございます。
皆さんの気持ちを無駄にはせぬよう、力を尽くす所存です。

そしてこの一年お世話になった全ての方々に、心より感謝を。

2025年も本当にありがとうございました。
2026年もどうぞ桑原作品をよろしくお願いいたします。

2025年を振り返って その1

  • 2025/12/30 15:41

早いもので2025年もあと2日となりました。
恒例の振り返りをば。

今年発売した新刊は以下の五点でした。

3月『遺跡発掘師は笑わない イクパスイの泪』角川文庫
8月『荒野は群青に染まりて 暁闇編』集英社オレンジ文庫
9月『荒野は群青に染まりて 相剋編』同 
10月『荒野は群青に染まりて -赤と青-』同
12月『遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は』角川文庫

久しぶりに新刊の多い年でした。
遺跡発掘師シリーズは北海道編と短編集。
北海道編がとにかく内容的にも精神的にも執筆カロリーの高い作品だったので、ようやく本になったときは本当にほっとしました。アイヌの歴史と向き合いながら、丁寧に書くことを心がけました。短編集は久しぶりでしたが、題材は湧いてくるモノですねぇ。無量たちとのつきあいも15年になり、題材を投げればキャラたちのほうで動いてくれるので、肩の力を抜いて書けました。
荒野は~シリーズは単行本の文庫化が二冊。番外編が一冊でした。文庫化といえども著者校正はがっつりと一から見ましたので、なかなか大変でしたけれど、戦後80年という節目に年に出せたこともよかったです。戦後復興の時代を泥臭くもリーダビリティーのあるエンタメとして、地に足を付けて書けた作品となりました。今の自分にはこのスタイルが一番合っているのだな、と再認識できましたし、思い入れも深いので、「いまの私」の代表作のひとつだと堂々と言えるものになったのではないかと思います。
三ヶ月連続刊行というスピード感は、勢いはあるのですが、書店さんからすぐに消えてしまう可能性も高く、長く読んでいただきたい作品なので、これからも自分なりに「こういう作品があります」を伝えていきたいと思います。どの作品もですが、お気に召していただけたら、ぜひ周りの方に「こんな作品があるよ」と紹介していただけたらありがたいです。

そして、「オフロサマ」という読み切り短編も書きました。
こちらもほっこりするお話でした(銭湯だけに)。いずれオレンジ文庫さんからアンソロジーという形で発売されるのではないかと思います。

「イクパスイ~」の反動のように今年は読み口軽めの短編が多かったようですね。意外に書けるようで書けないので、たくさん手がけることが出来て非常に楽しゅうございました。

本は……特に文庫本は、いつでも手元におけるエンタメで、日常の隙間時間や息抜きとして読めるのが一番いいところだと思います。
好きな時間に好きな場所で読める。ページを開くだけで非日常の世界に入り込むことができる。
皆さんの日々の楽しみとして、生活の空間にあれることが嬉しく。
これからもどうぞ手にとっていただき、手元に置いてもらって、いつでもどこでも何度でも読んでもらえたら、それが小説家にとって一番幸せなことだと思っています。
新刊既刊問わず、この一年も桑原作品を読んでいただき、ありがとうございました。(→続きます)

新刊『遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は』発売

  • 2025/12/28 12:10

1084.jpg

年末年始も押し迫ってきまして、本格的な寒さとなりました。
皆さんどうぞ温かくしてお過ごしください。

そして今年最後の新刊が出来ました。
『遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は』角川文庫
(装画 睦月ムンク先生)


無量たちが桜を背景に勢揃い。笑わなかった無量が初めてカバーで「笑った」!
と嬉しくなりました。刊行はクリスマスですが、季節先取り、気持ちも明るくなる素敵なカバーイラストです。睦月先生ありがとう!
好評の短編集、第三弾です。
番外編が四作、春夏秋冬のエピソードをそろえました。
春夏秋冬の順番で掲載しているのですが、時系列的には「火炎土器に呼ばれて」(冬のエピソード)から始まります。忍がいるので「去年の冬」です。
(書いた順番は作品の並び通り)
江戸時代の村歌舞伎を復元する話や、インドの富豪の息子とスキー教室や新選組のふるさと日野での発掘、炎天下での地獄の発掘……等。
ちょっと「火炎土器」「火焔土器」「火焔型土器」の書き分けには手こずりましたが、本編ではなかなか書けないコミカルなエピソードが出せるのも短編集ならでは。
私にとって短編集は「ご褒美」のようなものなので、いつも楽しんで書いてしますし、今回はミゲルとさくらが加わった後なので、ふたりがそれぞれ主人公のお話も書けたのもよかった。
本編はガッツリ歴史うんちくがありますが、短編集のほうはそこまでガッツリではないので、初めて読む方にもおすすめします。

そして今回の目玉は、巻末図録。
その名も「西原無量のレリック・ファイル」!
ここにきて単行本の時の旧題が使えるとは!!笑
まさにその名の通り、出土遺物の図録です。担当yさんが手がけた入魂の企画です。今まで登場した遺物をイラスト付きで紹介。
遺物の特徴や出土した背景などのデータがぎゅっと詰まってます。
イラストを手がけたのは大島弓枝先生です。とても温かみのある風合いが素敵で、眺めていると遺物たちに愛着も湧いてきます。頭の中のイメージだけだった遺物の姿を、こんなふうに目の当たりにすることができるとは!
改めて20巻分の道のりを振り返り、無量と一緒にこんなにたくさん発掘してたんだなあ、と感慨深くなりました。
このシリーズは巻を重ねるほど、時代と地域という縦糸と横糸が紡がれて大きなタペストリーのようになる、と思いながら書いてきましたが、
こういう形でダイジェストできる企画は本当にありがたく。
担当yさんの情熱に感謝!
とても読み応えがあるので、読んで振り返ってみてください。
(私もコメント入れてます)
年末年始のお楽しみに、ぜひお手にとっていただけると嬉しいです。

というわけで、さっそく次巻にも取りかかっております。
シリーズもクライマックスに向けて進行中。
次の舞台はどこになるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

35周年トークイベントありがとうございました。

  • 2025/12/14 20:52

12月6日に行われました「桑原水菜&炎の蜃気楼35周年のトークイベント」にご来場くださった皆さん&配信視聴してくださった皆さん。
ありがとうございました!!
おかげさまで大盛況のうちに幕を閉じました。
少女小説研究家の嵯峨景子さんがMCをつとめてくださり、懐かしいお話をたくさんさせていただきました。
さすがに35年も前の話となると、記憶も怪しくなるところですが、ミラージュについては作者本人にとっても強烈な記憶の数々だったため、結構覚えてるものだなあ、と自分で感心してしまいました。
(キャラの名前が出てこなかったりしましたが……。ごめんね礼ちゃん)
ただミラージュに関しては読者のみなさんのほうがよく覚えているようで、私がうろ覚えな場面で「でしたっけ?」的に皆さんのほうを見やると「うんうんうん」とすごいうなずいて教えてくれる方もいたりして、心強かったです。
改めて、ミラージュとは読者の皆さんにとって本当に大切な作品なのだな、ということをひしひしと感じましたが、それが一過性のものでなく、今も胸の底に大切にしまってあるだろうことに、胸が震えました。
若い頃に触れた作品は特別、とは申しますが、本当にそうだな、と。
古豪(?)の方だけでなく、最近読みました、という方もおられて、こちらも嬉しかったです。小説のほうは終わってからもう8年経ちますが、いまなお、こうして初めて手にとってくださる方々がいるのは励みになります。
出会ってくれてありがとう、と心から思いました。
本当に楽しいひとときでした。
(ただ熱気で部屋が結構暑くなってしまい、途中で気分悪くなる方など出なかったか、ちょっと心配になりましたが、……大丈夫でしたでしょうか?)


嵯峨さんの司会進行は、読者の皆さんに寄り添って熱く濃く、同じ読者ならではの視点がふんだんにあったのがさすがでした。普段、大学などで講師もされてるだけあってお話もよどみなく進行もスムーズで、人前で話すことは滅多にない私でも安心してお話させていただきました。
講義もする上に、このようなイベントでのMCもやってのけるとは。本当にありがとうございました。これからは嵯峨先生とお呼びしなければ!

当日は挿絵&コミカライズを担当してくださった浜田翔子先生、ミラージュ紀行漫画やオウギチャンネルでおなじみのくすみことこ先生、『赤の神紋』の挿絵担当・藤井咲耶先生も来てくださり、見守ってくださいました。インタビュー記事等をいつも担当してくださったライターの垳田はるよさん、取材に何度もつきあってくれた高校からの友ありちゃんも。当日はバタバタしてゆっくりご挨拶もままなりませんでしたが、来てもらえてすごく嬉しかったです。
35周年という長い歳月、一緒に歩いてくれた方々への感謝を噛みしめました。

今回はコバルト・オレンジ文庫編集部一同による手作り感溢れるイベントで、当日運営に不慣れな点もあったかとは存じますが、編集部総出で準備して頑張ってくださいました。なかなかこれだけの読者さんと生でお目にかかる機会はないので、編集部の皆さんにとっても「読者の熱」を直に受け止めるよき機会となったのではと。
一方、配信スタッフの皆さんはめっちゃガチのプロ集団で、万全の態勢で配信をさせていただきました。
このイベントにかかわってくださった皆さんに感謝申し上げます。


つきましては、
12月15日(月)~22日(月)まで
期間限定でイベントの様子をアーカイブ配信いたします。


アーカイブ配信チケットは Peatix  にて販売中。
【チケット代】1,000円

ご好評につき【事後販売】という形で発売しました。イベントを後から知った方、買いそびれてしまったなどはぜひアーカイブ配信をご利用ください。(詳しくはオレンジ文庫Xアカウントにて)
会場に来られなかった方は、ぜひこの機会に。

よろしくお願いいたします。

思いもよらず年末にかけて二回続けてトークイベントという展開になり、
私自身もびっくりしましたが、皆さんとお目にかかれて、たくさんの熱量を浴び、大いに刺激を受けました。
ありがとうございました。

先週は再び取材も行きまして、そろそろ腰を落ち着けて執筆に没頭することにします。
12月25日には新刊『遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は』(角川文庫)
が発売します。クリスマスです。
こちらもよろしくお願いいたします!

新刊&35周年イベントのお知らせ

  • 2025/11/17 19:01

ついこの間まで半袖だったのに暖房を入れる寒さになってきました。
すでに晩秋の気配が漂っていますね。
さて、お知らせ2点です。

①新刊『遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は』
 装画 睦月ムンク先生 角川文庫

 今回は久しぶりの短編集。四作収録しております。
 巻末には今まで無量が掘り当ててきた出土遺物の図録も!
 12月25日発売です。

②桑原水菜&『炎の蜃気楼』35周年記念トークイベント

 Xのほうで予告しておりました35周年記念イベント。
 オレンジ文庫さんから詳細が告知されました。
 以下の通りです。

*******

 【日時】12月6日(土)14時~16時(開場13時30分)
 【場所】東京・神保町某所(チケット購入された方に詳細な場所をお知らせします)
 【チケット】2000円
 【定員】100名

  チケットは11月19日(水)19時よりPeatixにて発売
  (オレンジ文庫公式Xにて同日同時にPeatixのURLをポストします)

*******
 当初、35周年は特になにもしない予定だったのですが、先日のよみうりカルチャーのトークイベントでの皆さんからの「ぜひ!」とのお声に背中を押され、なんとか開催にこぎ着けました。
 司会進行は引き続き、嵯峨景子さんです。↑のイベントでお話ししきれなかった分などもお話できれば、と存じます。
もろもろのスケジュールの関係でこの日程となりましたが、ご都合のつくかたはぜひ。お待ちしております。

【追記】11/22
会場チケット分完売につき、急遽、追加分の発売が決まりました。
配信チケットも同時に発売します。

どちらのチケットも 11月28日(金)19時よりPeatixにて発売
(詳しくはオレンジ文庫公式Xにてご確認ください)

 

一人芝居『憑』閉幕

  • 2025/10/27 00:46

俳優・富田翔さんの一人芝居『憑』が10月17~19日恵比寿のエコー劇場で上演されました。
私は原案を担当いたしました。
あれは7月下旬でしたか。舞台ミラージュで景虎を演じた富田さんから、一人芝居の企画を練っているとのことで「お知恵を拝借したい」とご相談いただいたのが事の起こり。「芝居中に書を書きたい」と真っ先に仰っていたのでそれを叶えるモチーフ(原案)をご提案させていただきました。
「1文字の書で死者を成仏させる話」。
とても気に入ってくださってその場でタイトルも決まり、演出の田邊俊喜さんからもすでにその場で「ブラックライトを使った演出」のアイデアが飛び出してきたりして大変エキサイティングでした。

往生文字という発想の源は真言密教の「仏の種子(しゅじ)」(毘沙門天でいうところの「バイ」←梵字の頭文字)。
その1文字で、その仏の全てや本質を表すとされる文字です。
これを「人間の一生」を表すものとして表現してみてはどうだろう、と。
翌日、そのアイデアとオチに至るまでのざっくりした構成を簡単にまとめたものを提出して私の仕事はおわり。

個々のエピソードをはじめ、あの見事なストーリーラインはすべて脚本担当のほさかようさんが考えてくださったものです。(原案で決まってたのは「〆切に追われる男」とオチ。私が書いた台詞も「文字をくれ、文字をくれ、私を浮かばす文字をくれ」だけ)

ですので、プロットをいただいた時はびっくりしました。まさかガッツリ小説家が主人公の話になるとは…! しかも偽物本物というテーマ。「おお!これくるかぁ!」と興奮しました。
私には大変馴染み深いテーマ。
(全然関係ないんですが、あのエコー劇場の建物にあるスタジオ。赤の神紋のドラマCDのオーディションをやった場所でした)

原案は原作ではないので、そのあとはもう製作が進んでいくのをオブザーバーのように見守っておりました。(最終稽古は拝見しました)
私が差し出した小さい種が、あんなに素晴らしい舞台になって目の前に出現したことが本当に凄くて、富田さんと田邊さんをはじめとするスタッフの皆さんの創造力に感銘を受けました。
劇中、原稿用紙を抱きしめていた紫村の姿が、懐かしくて切なくて…。
(どういう懐かしさかというと、ドラマ新説三億円事件で山崎努さん演じる中年男が織田裕二さん演じる青年をみて「あの海でまたおまえが懐かしくなった」という類いの)
舞台を観ながらいつしか自分自身の来し方を振り返っていました。

終わってから思ったのですが、あの一人芝居の源流には富田さんご自身のファミリーヒストリーがあったかと。
偉大な書家であるお祖父様、その名を抱いて同じ道を歩み、繋げ、拓き続けておられるお母様、そして富田さんへ。三代にわたり綿々と受け継がれていく「書」くことへの想いが「演劇」を得て、そこにあるように感じました。
(往生文字の着想には以前お招きいただいた一門展からのインスパイアがきっとあったかと)

田邊さんも仰ってましたが、この素晴らしい舞台を作り上げたひとたちを、繋げたのは、まさに「仏縁」。
私もそう感じましたし、その縁を引き寄せたのは、表現にたずさわるひとたちの熱い意志だったように思えます。

ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。
アフタートークでは盛大な出とちりをかましてしまいましたが(大変失礼いたしました!)「あの千秋楽のすごい空気の中でトークってどうやればいいの……」と震えていたので、おふたかたとお客様方が和やかな空気にしてくださってほっとしました。

千秋楽公演は現在アーカイブ配信中(11月3日まで)。

カンフェティにて配信チケットが購入できますので、劇場に来られなかった方々、気になってる方々もぜひご覧くださいませ。


演劇は本当に非日常の祝祭空間ですね。
ありがとうございました。

ページ移動

キーワード検索

新着画像

過去ログ

Feed