Diary

白百合女子大学のコバルト50年シンポジウム

  • 2026/06/14 01:33

まずは新刊のお知らせです。
7月24日発売
『遺跡発掘師は笑わない 隼人の金冠』角川文庫
(装画 睦月ムンク先生)

次の舞台は鹿児島県!
よろしくお願いします!

5月30日に行われた白百合女子大学のシンポジウム「コバルト文庫50年と少女カルチャー」も無事終了しました。
来てくださった皆さん、ありがとうございました。
遅くなりましたが、振り返ってみたいと思います。
第一部は『マリア様がみてる』等でおなじみの今野緒雪先生と一緒に。聞き手はおなじみ嵯峨景子先生。
今野先生とはプライベートでも仲良くしていただいているので、そんな我々の交友ぶりからそれぞれの仕事についてのお話など、楽しくさせていただきました。祥子様と直江の名言バッジの話とか。缶詰著者校の話とか。お互い大変でしたよね。としみじみ当時を振り返りました。
第二部は白百合女子大の児童文化学科の先生方による講演。トミヤマユキコ先生は漫画とコバルトの相互関係ついて、山中智省先生はコバルトをはじめとする少女小説カルチャーについてそれぞれ興味深いお話が。
第三部は登壇者全員でのセッション。紙の本としてはもう出版されなくなったコバルトをどう後世に残していくかなどを語り合いました。少女小説研究の第一人者である嵯峨先生がおられたのも頼もしく。
山中先生と嵯峨先生はあの分厚い大労作「ライトノベル雑誌 少女小説雑誌 目次集成」を監修されたおふたりで、時間が許せばもっとそのお話も聞いてみたかったです。いつか、おふたりでの対談イベントなど、ぜひ企画お願いします!

このようなアカデミックな場に登壇するのは初めてで緊張しましたが、先生方やスタッフの皆さんはとても気さくで笑顔で終始朗らかな空気感(狂犬バッジもつけてくれてありがとうございました。な、なんかすみません)。四時間の長丁場でしたが、濃密で有意義な時間を過ごすことが出来ました。

コバルトが少女読者と歩んだ道のり、先輩方の偉業、出版業界の中で果たしてきた役割……。コバルトが生み出してきた特有のカルチャーともいうべきものの一端を担えたことが心から誇らしく。
また学術の世界におられる先生方がこのようにコバルトを研究対象として再評価してくださるのがありがたいです。こうして取り上げてくださること自体が、コバルトを知らない世代の方々に伝えるための大きな役割を果たしておられること、ひしひしと感じました。
そして(会場の皆さんにはお伝えしましたが)コバルトの遺産を伝えていくためには、誰よりもコバルトの面白さを知っていて愛してくださった読者の皆さんのお力添えなしには成し得ないだろうことも。
コバルトの思い出、作品のお話、雑誌や付録やイベントのこと、読み友さんとのことなどなど……、なんでもいいんです。
皆さんにとってのコバルトをぜひ折に触れて、それを知らない方々にも語り継いでいってもらえたら嬉しい。
むろん我々も力を尽くしていきます。
編集部ではコバルト作品のオレンジ文庫での復刊なども進めていますし、好評であれば、五月のコバルト展のような企画もまたありうるかもしれません。
コバルトというカルチャーがなんだったのか。
それを明らかにするのもこれからではないかと。
私は当事者で渦中のど真ん中にいたので経験は折に触れて話してきましたが、それが何だったのか、意味づけをしていく作業も、これから大事になっていくような気がします。
最後に、今回のイベントを企画してくださった山中先生。シンポジウムだけでなく様々な展示(新井素子先生の作品展や大宅壮一文庫さんの協力による雑誌Cobaltバックナンバー展示)などもあったので、さぞや準備は大変だったかと。その情熱その行動力、フットワークの軽さ、何から何まで頭が下がる思いがしました。
白百合女子大は星敬氏の旧蔵書二千数百冊に及ぶコバルト文庫の受け入れで今後コバルトだけでなく少女小説とそのカルチャーの研究拠点になっていくのではと。
どうぞ末永くよろしくお願いいたします。

 

舞台「炎の蜃気楼」トークイベント&幕末編上演決定

  • 2026/06/03 21:26

白百合女子大学のシンポジウムも無事終わり、5月のトークイベント三本立て、無事やり遂げました。ご来場の皆様ありがとうございました。

さて、5月24日に行われた舞台『炎の蜃気楼』振り返りトークイベントを振り返りたいと思います。
(昼の部と夜の部では構成が変わりましたが、まずは昼の部で)

開演冒頭、景虎役の富田翔さんが登場して、Blu-rayBOXのブックレットに掲載した「ブルースを聴きながら」という詩をひとり朗読。これは「せっかく加瀬の衣装と風貌で出るのだから」と私のほうからお願いしました。だって皆さん、舞台に立つ「加瀬さん」もう一度観たいですよね!? と思ったので。(私は裏にいたので観れてないのですが)
振り返りトークコーナーでは、晴家役の佃井皆美さんと勝長役の笠原紳司さんと私も加わり、四人でミラステを振り返りました。散華行からすでに8年経ちますが、昨日のことのように鮮やかに思い出せるのはすごいことですね。プロデューサーの林修司さん(蘭丸役)が直々にMCをしてくれたのも嬉しくて、相変わらずの面白すぎるお話に、私は舞台にいながらずっとお腹抱えて笑ってました。
そして後半は、書き下ろしのミニ朗読劇。タイトルは「灯台は消えず」
ずっと温めてきた「昭和編の後日談」。
色部さんが米沢の上杉家御廟所を訪れて、レガーロの思い出を回想しながら夜叉衆への思いを吐露する、というものでした。
さすが全5作を務め上げた方々。劇場にはあっというまにあのミラステの空気がよみがえりました。終盤は「過去の台詞のパッチワーク」として、「やどかりボレロ」のラストを彷彿とさせる手法で。取り上げた台詞の中には小説の中のものもあったりしたのですが、パッチワークしてみると、それらの言葉がまた別の意味を伴って聞こえてきたのが面白く。
富田さんの加瀬はレガーロにいた頃のまだ軽口もたたけた頃の穏やかさがあって懐かしかったし、佃井さんのマリーはより艶っぽくなってて素敵だったし、笠原さんの色部さんは内に秘めた激情が力強く、かつ切なく、胸に迫るものがありました。
富田さんがじきじきに演出してくれたので、ミラステの「あの時」の「あの音楽」をつけてくれたのがさすがでした。
私も会場で初めて聴いたんですが、お三方の見事に息の合った表現力・具現力・体現力に圧倒されました。
この朗読劇は「皆さんへの感謝のしるし」として書かせてもらったのですが、書いてよかったと心から思いました。

そして最後に発表された舞台「炎の蜃気楼 幕末編」
ようやく発表できました。
映像を見ていた客席の皆さんの反応が、五段階くらいであがっていき、最後に悲鳴とも歓声ともつかぬ声に変わったのが、最高でした。
すごく喜んでいただけてホッとしました。
トライフルが倒れてBlu-rayBOXの件で皆さんに大変ご心配をおかけして。このままあのミラステがしぼむように終わってしまうのは忍びない。ネガティブな気持ちで終わりたくない、もう一度新たなミラステに挑戦を! と願ってくれた富田さんとその願いに共鳴してくれたピウスの林さん、StageEraの髙橋さんらの共同プロデュースにて実現する運びとなりました。
「願う」という力は、やはり全ての原動力なのだなと感じ入りました。
(そういえば、朗読劇のテーマも「願い」でした)

発表とともに私自身もようやく実感がわきました。
これは新しい船です。
昭和編5作は私の中で殿堂入りして、その思い出は不滅のものとなりました。

これはミラステ5作の魂を宿す「新しい船」の出航です。
脚本にはほさかようさん、演出には田邊俊喜さんという、ひとり芝居「憑」でタッグを組んだ強力すぎる布陣。私は大船に乗った気持ちで作品をお預けできます。
恐らくその航海は今までがそうであったように、様々なことが待ち受けているでしょう。皆で力を合わせて突き進んでいきたいと思います。
ぜひ皆さんにもこの船に乗り込んでいただけたら嬉しいです。
2027年1月。劇場でお待ちしております。

また新グッズはイーストパークさんが受け持ってくださいました。イーストパークさんにはBlu-rayBOXの件で大きな負担をおかけしていることもあり、グッズ販売で少しでも利益をあげていただけたら、と思っていましたが、劇場販売したBlu-rayBOXは無事完売。他のグッズもたくさん買ってもらえたようで、よかったです。

昼の部には、昭和編で直江役を演じてくださった平牧仁さんも観に来てくれて、すごく嬉しかった!
平牧さんはデビュー二ヶ月でいま大旋風を巻き起こしている「モナキ」の一員として多忙を極めておられるにもかかわらず、足を運んでもらえてすごく嬉しかったし、景虎と…夜叉衆と一緒にいる姿に胸が熱くなりました。
ミラージュを大切に思っておられる気持ちも伝えてくれて、心から感謝でした。紅蓮坂も散華行も、仁さんの演技は本当に素晴らしかったから。
モナキずっと応援してますよ!

コバルト編集部の歴代ミラージュ担当さんたちや友人たちも駆けつけてくれて、たくさんの方の尽力で実現したイベントでした。
この結束力をもって1月の上演に挑みます。
皆さんぜひ楽しみに待っていてくださいね。

コバルト展トークショーありがとうございました。

  • 2026/05/28 11:35

5月はイベント三本立てということで。
作家人生においても、こんなに短期間で続けて人前に出てお話することは二度と無いので、スペシャル月間、頑張っております。
そのうちの2本が無事終わりました。
残る白百合女子大学のシンポジウムが明後日行われます。
大きな講堂での開催で、席はたくさんございますので、週末のお出かけにぜひ遊びに来てくださいね。(チケット購入はこちらから)


コバルト50周年企画「ときめくことばのちから」展、無事終了しました。
来場された皆さん、ありがとうございました。
5月3日のトークショーは楽しい時間でした!
直江の誕生日ということで一応、橘さんのお話多めで話しましたが、いかがでしたでしょうか。
今回も「事前募集した質問にお答えする」というスタイルで、質問をたくさん寄せていただきまして、全部は読み切れなかったのですが、皆さんの熱量の高さと質問の幅広さに35年の歴史を感じました。
ちょっと記憶が怪しかったりしましたが(年を感じる…)当時の空気感や独特のノリまでよみがえり、……元気でしたね! 20代!
江戸時代の夜叉衆の話で「調伏しにいくとき、大江戸捜査網みたいに道で横一列になる」というやつが、自分でウケて面白くなっちゃって、いつかやってみたくなりました。
他の作品の話題も、ちょこちょこと。
縛魔伝のふたりが40代になったやつは、ちょっと書いてみたいです。笑

嵯峨景子先生のMCは、今回もとても楽しく。
どこに投げても拾ってくれる頼もしさは、ミラージュとコバルトへの深くて広い愛と知識を持っていらっしゃる嵯峨さんならでは。人前で話すのが苦手な私でも、自然体でお話できるのは、嵯峨さんが持っておられるゆったりとした空気感のおかげです。
最高の5月3日を皆さんと一緒に過ごすことが出来て、本当に幸せでした。

コバルト文庫は十代の女性がメインターゲットで、今回のイベント展示は十代の頃に読んでいた方々が刺さる仕掛けがちらほらと。
指向性スピーカーでキャラの声が聞こえるウィスパールームでは、速水さんと関さんの懐かしい台詞が。まるで思念波、凄かった。

そんなコバルト展でしたが、私のように2017年までコバルトで新刊を出していた身としては、そこまで「コバルト自体」が懐かしいという感覚はなく。
応援してくれる方々も息長く、時には入れ替わり立ち替わりしながら途切れることなく、ふだんは心の中にしまっておられるかたも、何かのイベントがあった時は駆けつけてくださる。
そんな読者の皆さんのありがたみを噛みしめております。

浜田先生のスペシャルな原画展示も眼福でしたし(直江と高耶のツーショットって意外にもカバーでは少なくて、むしろカレンダーやテレカなどで多かったですよね)東城先生の貴重な複製原画販売があったりして、盛りだくさんでした。
グッズのほうも!
皆さんが楽しんでもらえていれば幸いです。

コバルト文庫には、やはり他のレーベルとはひと味ちがう「濃さと熱さ」がありました。
そのへんは明後日の白百合女子大でのシンポジウムでも触れることになりますが、その歴史をなんらかの形で残していくというのもまた大切で。
そのためには、読者のみなさんが発信する言葉もまた、重要な役割を担っていくのだと思います。
ぜひこれからもSNSなどでも「あのときはああだった、こうだった」なんて昔話をしていってもらえるとうれしい。
また古い物(雑誌やチラシやグッズなど)は、やむをえず廃棄するときなどは、できれば外観などを写真に撮ったりして(著作権に抵触しない範囲で)SNSなどに残してもらえるとそれが「記録」になると思います。
よければぜひ。

このトークイベントは近々アーカイブ配信されるとのこと。
会場に来られなかった方は、ぜひそちらをご利用ください。

ありがとうございました!

5月のトークイベント3本立て

  • 2026/05/02 10:27

気がつけばもう5月! 原稿にかまけてすっかり更新が滞っておりました。(原稿は無事あがりました)

5月のトークイベントについてのお知らせです。
なんと3本のイベントにて登壇いたします。

********

【1】
集英社コバルト50周年「ときめくことばのちから」展
桑原水菜トークショー&サイン会(MC 嵯峨景子さま)

日時:5月3日(日)14:00~
場所:西武渋谷店7階催事場
※販売終了 

【2】
舞台「炎の蜃気楼」振り返りトークイベント&書き下ろしミニ朗読劇&スペシャルサイン会

日時:5月24日(日)13:00~ / 17:00~
場所:新宿村Live(東京都新宿区)

チケット先行販売 5月2日(土)10:00~5月4日(月)23:59(抽選)

    一般販売 5月9日(土)19:00~(先着)
LivePockt にて
※先行販売にて売り切れた場合、一般販売はございません

【3】
コバルト文庫創刊50周年記念シンポジウム「コバルト文庫50年と少女カルチャー」白百合女子大学

日時:5月30日(土)13時~
場所:白百合女子大学講堂(東京都調布市)
参加券発売 5月6日(水・祝)19:00~
      Peatixにて(先着)

 (チケットに関する情報はオレンジ文庫公式Xまたは公式HPにて)

*********


【1】のコバルト展は4月29~5月10日まで西武渋谷店7階催事場にて開催中の50周年記念展示会内でのイベントになります。
チケットのほうはすでに完売しましたが、イベントのほうは10日まで開催しております。懐かしいコバルト文庫の歴史と言葉に触れられる空間でした。ウィスパールームという指向性スピーカーでキャラの声が聴けるコーナーも。ミラージュルームもありますので是非。

【2】の舞台「炎の蜃気楼」トークイベントは、おなじみのキャストである俳優の富田翔さん、佃井皆美さん、笠原紳司さんのお三方とともにミラステを振り返ります。私が書き下ろしますミニ朗読劇も。イベント後にはサイン会もあります(Blu-rayBOXのブックレットに書きます。すでにお持ちの方はご持参ください。なお会場での購入もできるとのことです)

【3】の白百合女子大学のシンポジウムは、第一部オープニングトークに『マリア様がみてる』の今野緒雪先生と登壇します。MCは嵯峨景子先生です。第三部のセッションにも参加します。

というわけで、情報が渋滞しておりますが、なにとぞよろしくお願いいたします。

2025年を振り返って その2

  • 2025/12/30 16:17

(→続き)
また、今年はトークショーなどのイベントに登壇する機会が三度もあり。
一回目はよみうりカルチャーさんでの新井素子先生とのトークショー。その流れでなんとミラージュ35周年イベントまで開催されることになり、我ことながらびっくりしました。でもその結果、久しぶりに読者の皆さんと直接お目にかかれて声を聴き、皆さんのミラージュへの思いを受け取ることができました。
また富田翔さんの一人芝居でも原案担当として千秋楽アフトに顔を出させていただき、舞台にたずさわる喜びを再認識することができたと思います。舞台「炎の蜃気楼 昭和編」シリーズが結んでくれたご縁でした。

昨年そのミラージュの舞台の制作会社が倒れるという思ってもみない事態にみまわれ、Blu-ray BOX購入者の皆さんには大変なご心配とご心労をおかけしてしまいましたが、関係各位の尽力により、どうにか制作を続け、お手元に届けることができました。
つとめを果たせて安堵もしましたが、関係者の皆の中に、このままで終わってしまってはいけない、という気持ちも残りました。それを形にするために何ができるか。
またそれ以外のところでもコバルト50周年の節目ということで、もしかしたら、来年もどこかで皆さんとお目にかかれる機会があるかもしれません。
水面下では色々動いておりますので、発表をお待ちくださいませ。

そのようなわけで、個人的にこの一年ははじめのほうはだいぶ精神的なタフさを求められましたが、果たさねばならないことを果たした後は、徐々に執筆も楽しめるようになり、引きこもりがちだった私が不思議と外へ外へと出て行くようになった感じがしました。

原稿が最優先ですので、じっくりこもるときはこもりつつ、時々陽の光のもとに出て。
今しかないこの瞬間、今の自分が表現したい物語を見つめて、それらを形にしていくことに全力投球していきたいと思います。

皆さんの応援や発信が力となっています。ほんとうに。
その力に背中を押され、物事が実現するさまを目の当たりにし、
読者の皆さんの応援の力というものを心から実感する一年でした。
ありがとうございます。
皆さんの気持ちを無駄にはせぬよう、力を尽くす所存です。

そしてこの一年お世話になった全ての方々に、心より感謝を。

2025年も本当にありがとうございました。
2026年もどうぞ桑原作品をよろしくお願いいたします。

2025年を振り返って その1

  • 2025/12/30 15:41

早いもので2025年もあと2日となりました。
恒例の振り返りをば。

今年発売した新刊は以下の五点でした。

3月『遺跡発掘師は笑わない イクパスイの泪』角川文庫
8月『荒野は群青に染まりて 暁闇編』集英社オレンジ文庫
9月『荒野は群青に染まりて 相剋編』同 
10月『荒野は群青に染まりて -赤と青-』同
12月『遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は』角川文庫

久しぶりに新刊の多い年でした。
遺跡発掘師シリーズは北海道編と短編集。
北海道編がとにかく内容的にも精神的にも執筆カロリーの高い作品だったので、ようやく本になったときは本当にほっとしました。アイヌの歴史と向き合いながら、丁寧に書くことを心がけました。短編集は久しぶりでしたが、題材は湧いてくるモノですねぇ。無量たちとのつきあいも15年になり、題材を投げればキャラたちのほうで動いてくれるので、肩の力を抜いて書けました。
荒野は~シリーズは単行本の文庫化が二冊。番外編が一冊でした。文庫化といえども著者校正はがっつりと一から見ましたので、なかなか大変でしたけれど、戦後80年という節目に年に出せたこともよかったです。戦後復興の時代を泥臭くもリーダビリティーのあるエンタメとして、地に足を付けて書けた作品となりました。今の自分にはこのスタイルが一番合っているのだな、と再認識できましたし、思い入れも深いので、「いまの私」の代表作のひとつだと堂々と言えるものになったのではないかと思います。
三ヶ月連続刊行というスピード感は、勢いはあるのですが、書店さんからすぐに消えてしまう可能性も高く、長く読んでいただきたい作品なので、これからも自分なりに「こういう作品があります」を伝えていきたいと思います。どの作品もですが、お気に召していただけたら、ぜひ周りの方に「こんな作品があるよ」と紹介していただけたらありがたいです。

そして、「オフロサマ」という読み切り短編も書きました。
こちらもほっこりするお話でした(銭湯だけに)。いずれオレンジ文庫さんからアンソロジーという形で発売されるのではないかと思います。

「イクパスイ~」の反動のように今年は読み口軽めの短編が多かったようですね。意外に書けるようで書けないので、たくさん手がけることが出来て非常に楽しゅうございました。

本は……特に文庫本は、いつでも手元におけるエンタメで、日常の隙間時間や息抜きとして読めるのが一番いいところだと思います。
好きな時間に好きな場所で読める。ページを開くだけで非日常の世界に入り込むことができる。
皆さんの日々の楽しみとして、生活の空間にあれることが嬉しく。
これからもどうぞ手にとっていただき、手元に置いてもらって、いつでもどこでも何度でも読んでもらえたら、それが小説家にとって一番幸せなことだと思っています。
新刊既刊問わず、この一年も桑原作品を読んでいただき、ありがとうございました。(→続きます)

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