Diary

2025年の日記

新刊『遺跡発掘師は笑わない イクパスイの泪』発売日

  • 2025/03/22 07:49

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春分を過ぎ、まだ寒さが残りつつも陽射しはすっかり春ですね。
無事に新刊の発売を迎えることが出来ました。

『遺跡発掘師は笑わない イクパスイの泪』
 装画 睦月ムンク先生/角川文庫

遺跡発掘師シリーズもついに20巻目。節目の一作となりました。
今回の舞台は北海道、道南地方です。
上ノ国にある中世の館の遺跡を調査することになった無量たちは、江差で開陽丸の水中発掘調査に来ていた司波たちと再会。
その司波たちに突然ふりかかった調査中止要請。
一方、無量たちは遺跡で「イクパスイ」というアイヌの祭祀具を発見。
江差の海の沈没船と、無量が掘り当てた「イクパスイ」は思いがけぬ形で繋がっていくことになり……。

元寇船のお話(6、7巻)に出てきた司波と黒木が再登場。
忍の転職先をまだ知らされていない無量と、忍&ソンジュの関係も徐々に動き始め……。萌絵はすっかりたくましくなりました。
戊辰戦争、アイヌ文化、北前船……道南の歴史が絡み合う一作となりました。
個人的に長年の宿題でもあった題材なので、無事書き上げられてよかったです。ぜひ読んでいただきたいです。
睦月先生の装画も、今回は特にスタイリッシュで、かっこいいですね。
アイヌ文様とイクパスイ、美しく描いていただけて感謝です。
どうぞお楽しみに。

 

舞台『炎の蜃気楼 昭和編』Blu-rayBOXにつきまして。

2月に告知されました件に進捗があったと聞き及んでおります。正式なお知らせをいましばらくお待ちください。

 

雪解けとともに春の光。トンネルを抜けて前に進みます。

読み切り短編「オフロサマ」公開&陸前高田市立博物館訪問

  • 2025/04/02 20:55

桜の花が一気に咲き始めたと思ったら、この寒さでつぼみもすっかり縮こまってしまったようですね。
おかげで長く楽しめそうで嬉しいです。

さて、集英社オレンジ文庫のWEBサイトに新作が載ります。
オレンジ文庫十周年を記念しまして、「魔法のある日常」をテーマに、読み切り短編を複数の作家でリレーする企画。
第三回目は私めです。タイトルは、

「オフロサマ」(イラスト Shiho先生)

お風呂を守るフロガミさまと老舗銭湯のお話。
軽い読み口の読み切りですので、お風呂に入った時のような気分で、頭を使わずにゆっくり読んでいただければ、と。
ちなみに昭和感溢れる温泉も銭湯も大好きで、
昔ながらのお風呂にはなぜあんなに癒やされるのでしょうか。
そんな問いを自分になげかけながら、書きました。
ぜひ、楽しんでくださいませ。

ここからは近況です。

先日、陸前高田市立博物館を訪れました。
「遺跡発掘師シリーズ」岩手編でお世話になった博物館。
東日本大震災の津波で大きな被害を受けましたが、瓦礫と泥の中から46万点に及ぶ資料をレスキューし、地道な保存処理と修復作業を重ねて、2022年に再建復活しました。開館の知らせを聞いてから、ずっと訪れたかったのですが、このたび、ようやくそれがかないまして、取材でお世話になった熊谷賢主任学芸員とも10年ぶりに再会を果たしました。

当時はまだ(脱塩のため)水槽で水に浸かっていた漁撈具が、すっかりきれいになって展示されている姿を見て、胸が熱くなりました。
本当に素晴らしい博物館。
ふるさとの「たからもの」への愛着と誇り、学芸員さんや関係者の皆さんのたゆまぬ努力と不屈の信念が結晶して、見応えのある展示内容でした。
ちょうど「陸前高田のオシラサマはいま~令和に伝える謎の民間信仰~」という特別展が開催中で、たくさんの素敵なオシラサマたちとも会えました!
ほんとうに親しみ深く、所有者家族とのエピソードがほほえましく、すっかり魅了されました。
見終わった後もあのあったかい空間が大きな玉になって、私の中に残っているような気がします。大好きになりました。
実はその日は物凄い風で、暴風に逆らいながらなんとか博物館にたどりついたような有様でして。その暴風のせいで東北新幹線が止まり、帰れなくなってしまって、もう一泊することになったのですが、そのおかげで閉館までゆっくり楽しむことができました。これもオシラサマからのはからいだったのかしら、と。
熊谷先生、陸前高田市立博物館の皆さん、ありがとうございました。
またぜひ訪れたいです。

(ちなみに今回の読み切り「オフロサマ」ですが、無量のほうのシュラバ中からずっと「オシラサマに会いたい会いたい」と思っていて、やっとシュラバがあけたので日帰り温泉に行き、ほっと一息ついた時にふってきたアイデアでした。頭の中で合体したのかな??)

再始動いたしました。

  • 2025/04/18 00:48

満開の桜が終わり、初々しい葉桜の季節となりました。
若葉のみずみずしさには見ているほうの心も潤うような気がします。

舞台『炎の蜃気楼 昭和編』シリーズBlu-ray BOXにつきまして。
購入された皆様には大変なご心配をおかけいたしましたが、無事に制作が決定し、新たな態勢で再始動する運びとなりました。
(詳しい経緯につきましては 舞台『炎の蜃気楼 昭和編』上演10周年プロジェクト公式サイト をご覧くださいませ)
制作会社が商品の製作途中で倒産、という大変シビアな状況に、知らせを受けた関係者一同衝撃を受けたのが11月。その直後から状況把握に動き、製作続行の可能性の存否もさだかでない中、集英社はじめ関係各社において対応について協議に協議を重ねてまいりました。(そのとき動いてくださった方々は皆「どうすればこの状況下で製作を続け購入者にきちんと届けられるか」をひたすら探ったと聞き及んでおります)

不確定要素も多い中、ただただ司法の判断を待つしかないという時間も長く、購入された方々のご心労を考えると私自身いたたまれない思いでおりましたが、無事に青信号がともり、心から安堵しました。また、この厳しい状況において、舞台にかかわった方々が示してくださった作品への思い入れや心意気にも支えられました。

このたび制作を引き継ぐ形となられた株式会社イーストパーク様には、心より御礼申し上げます。
再始動の第一歩として、先日、特典ブックレットに載せる写真の撮影と対談が集英社の会議室をお借りして行われました。
半年前のあの日、突然の中断に困惑した面々がようやく顔をそろえ、満を持して撮影に挑みました。富田さん演じる加瀬の姿を目にした時は「ようやくここまでこれたか」と胸がいっぱいに。
現場に立ち会ってくださったイーストパークの担当様から「ミラージュはチームなんですね」というお言葉をいただき、私自身も、ミラージュチームの結束力にあらためて感じ入る機会となりました。

製作は着々と進んでいるとのこと。
イーストパーク様から(心苦しくも)制作費の不足分をご負担いただく形となったこともあり、当初の想定通りとはいかない部分も出てくるかもしれませんが、関係者一同、知恵をしぼって力を合わせ、さらに良きものをお届けできるよう尽力いたしております。購入者様におかれましては、商品がお手元に届くまで、いましばらくお待ちいただけますよう、原作者として、あらためてお願い申し上げます。
なお、進捗状況につきましては、イーストパーク様により新たに設置されましたXアカウント(@butai_mirage_g)にてお伝えしていくとのことです。

このような事態となり、非常に残念でしたが、素晴らしい舞台を作ってくださったトライフル様への感謝が変わることはございません。

あらためてご尽力を賜った関係各位に御礼申し上げるとともに、もしかなうならば、乗り越えて培ったこの結束をもって、また新たなものを作り上げる力に変えていけますよう。

約束されたゴールを目指して。

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