Diary

舞台『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』総括4(終)

  • 2017/11/01 12:55

(続き)
そして毎回、舞台裏を知るたびに、舞台というものは見えないところでたくさんのスタッフの皆さんが作り上げたものの結晶なのだということを実感します。
二次元…ですらないかもしれないキャラを、三次元にて体現するのに必要な方々。いつも明るいヘアメイクの皆さん、延々と衣装の手入れをされてる働き者の衣装の皆さん。美術、小道具、照明、音響、映像……皆さんのスタッフワークには、最後の最後まで上を目指していく職人魂を感じました。
そしてそれらをひっくるめて舞台にあげる舞台監督さん!すごい。
いつも素敵なパンフレットや生写真を撮ってくださる宮坂カメラマンも観に来ておられ……。
演出助手の矢本さんは今回もひたすら頼もしく。演出部の皆さんも。
当日の会場運営を仕切るトライフルの皆さんも。
他にも、私の目には映っていないところでたくさんの方がたずさわっておられことと存じます。
原作者として心から御礼申し上げます。

とても個人的になのですが、この舞台の演出は私の好きなところど真ん中なので、
何度でも観たいと思いますし、大切な作品をこのような素晴らしい舞台にしていただけたことは本当に幸福なことだと思っております。
演出家の伊勢さん。今回も素晴らしい演出でこの世界を舞台にあげてくださって、ありがとうございました。

そして辻プロデューサー。
まるで荒天にさしかかった船のようだった今回の舞台。
その全ての決断を担われる重さというものは、私には計り知れませんが、力強い意志と決断力には、いつも感銘を受けております。
舞台にするには難しいこの作品。それでも続きを作り上げようと、真正面から、挑戦に溢れた姿勢と覚悟をもって臨まれたことに、感謝いたします。
体調も崩しておられた中で、最後まで本当にありがとうございました。

この舞台をみて最終巻を書けること、本当にありがたく思っております。
たぶん観なかった時の数倍の熱をこめて、書けるのではないかと思います。
「最終巻を書く先生の励みになるよう」と仰ってくださった辻さん、そして富田さんはじめとする皆さんのお気持ち、しっかりと受け止めて、最後までこの昭和編を書き切りたいと思います。

最後に観に来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。
(プレゼントやお手紙もありがとうございます)
観客がいっしょに舞台をつくっていると感じる、なにか力強い熱と緊張感を、いつも客席から感じます。
全ての皆さんへの感謝は、最終巻の執筆という形でお返ししたいと思います。
がんばります。

舞台『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』総括3

  • 2017/11/01 11:54

(続き)
せっかくなので個人的に印象深かったシーンをつらつら箇条書きで列挙します。
●プロジェクションマッピングがさらにグレードアップ(振霊法とかとか)
●全ての一対一のシーンに思い入れ…景虎と美奈子、美奈子と直江、景虎と蘭丸、景虎と長秀、信長と景虎、直江と高坂、直江と蘭丸等々、
●ラストレガーロ(涙)朽木とマリー、社長、マサのシーンが古き良き昭和の日活アクション映画のよう…信長の石原裕次郎感、マリーの「撃つわ」
●景虎の毘沙門刀殺陣。「核爆発起きてたもんな」とまっすんさん。
●色部さんの裂炸調伏(錫杖つき)新アクション満載
●八海大活躍(溜めが大事)
●石鎚山の人柱の女性(稽古場で「いっそ殺して女」と呼ばれていた)と小料理屋の女将を演じた金子さんが「いっそ殺して女がその後、小料理屋で元気で働きだして…」と冗談言ってて、そうしか見えなくなり……。
●直江のぼっちゃん→喪服→黒トレンチ(革手袋つき)尚紀を脱ぎ捨てて「ただの直江」になっていく変化。回重ねるごとに深化。
●信長の発動シーン。目つぶし(照明用語)しょった信長が神々しく。
●鉄二の初念動力。「んにゅーーー」
●鉄二と長秀の鍋囲み小芝居。
●年下少年を守る直江に、高耶を守る橘み…と言っていた友人。
●景虎と美奈子、赤マフラーと曼珠沙華。音楽こみで美。声張らない素の景虎新鮮
●直江と美奈子、熾烈
●最年少初舞台だった木寺さん。上からの「南無阿弥陀仏」
●六王教の幹部。菅原さんのど迫力のボス感。キーワード「我らが奪う」
●前回の自衛官から警察官(丸めがね)な北村さん。公務員撃ち。
●色部さんと晴家と石太郎。マリーちゃんのべろべろばあ、色部さんの「おねむ、だったみたいだあ」
●直江・長秀・高坂というレアな3人アクション。グーチョキパー。
●高坂華麗アクション。高坂たのしそう。「生まれ変わったら高坂になりたい」といっていたひとが知人にふたり。
●殺陣衆七変化。マサさんの階段から後ろ飛び。
●空港。記者の皆さんのリアクション個性豊か。
●夜叉衆のアクションSEに属性が。景虎は炎、直江は氷、長秀は雷、晴家は風、色部さんは……。
●衣装の考証。安保反対の皆さん。美奈子のほっかむりとか。
●いなせな長秀。必死仕事人になれる。景虎との悪友感。
●山仕様の新衣装。晴家、長秀、色部さん。なにげに今季流行のチェック。
●直江と景虎のすれちがい調伏
●景虎の橋脚爆破
●景虎と直江の天目山。美奈子母性。
●けんしんこう……!?にやられるふたり。
●ハンチング帽おつかれ。
まだまだありますが、行がいっぱいになってしまったのでこのへんで。

舞台『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』総括2

  • 2017/10/23 22:35

(続き)
今回はメインキャスト数名の方が交代ということで……。
新キャストである直江役の平牧さん、長秀役の五十嵐さん、高坂役の鐘ヶ江さん、そして美奈子役の小野川さんがフレッシュな空気をもたらしてくれたように思えます。
ゲストキャラの鉄二役の宮城さん、殺陣衆からも八海役の細川さん、金子さん、田中さん、木寺さん(殺陣衆の方々は稽古中のアンダーも兼ねてくれてます)。
四作目ということで、三作かけて築いた土台があることを大前提に、さらにそこから先の表現を生み出していかねばならず、ここから参加するキャストの皆さんは、本当に大変だったと思います。
土台を体に入れた上で新たな段階までも……という挑戦を、
たった一ヶ月の稽古で完成させるのは、容易なことではなかったのではないでしょうか。
皆さん、本当に真正面から取り組んでおられて、頭の下がる思いでした。
そして、それを受け止める続投キャストの皆さんも。
景虎役の富田さん、晴家役の佃井さん、色部役の笠原さん、そして信長役の増田さんと蘭丸役の林さん。社長役の水谷さん、マサ役の湯浅さん……。
四作目になる皆さんが変わらずそこにいてくれる安心感。
もちろん、3度目の出演となる殺陣衆の菅原さんや北村さんも。

安心感だけでなく、新たに課せられた目標に向き合っておられる姿に、信頼感しかなかったです。
むろん、これはスタッフの皆さんにも言えることで。
四作目という十分に力が満ちた状態で生み出すものの、クオリティの高さに、
感銘を受けました。
続けるということは、積み重ねるということなのだと
あらためて。

今回、舞台裏では本当に色々ありましたが、辻プロデューサーはじめスタッフ&キャストの皆さんのそれぞれの努力により、乗り越えてこられたこと。
やはり人の力なのだと感じ入りました。

そして、そうやってできあがった本番を、前三作のキャストさんも観に来ておられたのが、ファミリーを感じさせてくれて嬉しかったです。
前レギュラーの荒牧さん、藤本さん。
そして今回残念ながら体調不良で途中降板になってしまった美奈子役の今出さんも、観に来てくれて……。私は直接お会いできなかったんですが、観に来るだけでも大変な勇気がいったであろうことにしっかりと向き合おうと戦ったその姿勢に、精一杯の拍手を送りたいです。
たくさんの心を飲み込んで、ひとつの舞台がある。
つくづく、すごいことだなと思います。
それが舞台のすごさであり、こわさでもある。(続きます)

舞台『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』総括1

  • 2017/10/20 23:06

舞台『炎の蜃気楼 昭和編 紅蓮坂ブルース』全公演、無事終了しました。
ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。
感慨が深すぎて、なかなか言葉にするのもむずかしいのですが、ざっくりと振り返っていきたいと思います。しばしおつきあいください。

今回は原作『無頼星』『悲願橋』『紅蓮坂』の3冊を、ひとつにまとめた内容で。
辻プロデューサーと演出の伊勢さんの意向をもとに、要のエピソードをチョイスしてまとめる作業はとても大変で、脚本の西永さんの苦労が滲んでおられました。
私はそれらに目を通し、舞台として伝えやすい形にするために、原作者である私にしか、加えたり、削ったり、直したりができない部分に手を入れさせてもらいました。原作にないシーンも加筆して、より的確にシンプルにした結果、ミラステ史上、最も緊密な内容に仕上がったのではないかと思います。

第四作目は、挑戦と試練の連続でした。
内容的にも、事件解決そのものよりも夜叉衆とそれを取り巻く人々の心の動きがメインで、わかりやすいクライマックスもわかりやすいカタルシスもなく、ストーリーに頼ることはできない。ひたすら人の心の動きと、人と人がぶつかり合う、そこを見せ場にしていくという挑戦は、非常に難易度が高いものだったと思います。
演出の伊勢さんはじめキャスト&スタッフが皆、しっかりと目指すところを共有して、丁寧に丁寧に、それこそリアクションのひとつにまでこだわって作り上げていけたことが、今回の作品の、緊張感と訴求につながっていったのではないかと。
そして、前三作で作り上げたものをしっかり土台にできたことも、この難しい挑戦を可能にしたのではないかと。
四年目は決して甘いものではなく、挑戦しかなかったことも、
良い緊張感になって、現場のモチベーションを高めていたように思えました。
惰性という言葉が、みじんもなかった。それが四年目のミラステでした。(続きます)

 

舞台『炎の蜃気楼 昭和編 紅蓮坂ブルース』上演中

  • 2017/10/14 01:16

おかげさまで舞台『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』
無事、初日が開きました。
昨日までで二日目が終了。
シリーズ第四作目になる今回は、主に『無頼星』『悲願橋』『紅蓮坂』の3冊をベースに舞台用に構成された内容になっております。
今回は、今まで以上に濃密で緊密。
ひとつひとつのシーンが見せ場になっているように思えます。
アクションもよりバリエーションを加えて、本当にかっこいいです。
そして、スタッフワークもこれまでの積み重ねの上にさらに新しい試みがなされ、
本当に見応えがあります。
伊勢さんの演出が、ミラージュの世界観を見事に体現されていて
私も今までいろんな舞台を観てきましたが、
本当に美しい。

ぜひ観に来てください。

グッズも充実しております。
ミラージュの世界が、質量と熱量をもって存在しています。
それを体感していただけるかと。

「あれ? ちょっと時間できるかも」と思われた方、
当日券もございますので、ぜひいらしてください。
北千住のシアター1010でお待ちしております。
17日まで。

舞台『炎の蜃気楼 昭和編 紅蓮坂ブルース』公式サイト
http://trifle-stage.com/mirage2017/

新刊『アベル』発売しました。

  • 2017/09/20 02:25

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こんにちは。少しずつ秋めいてきましたが、皆様いかがお過ごしですか。
さて、リブレさんから久しぶりに新刊が出ました。

『アベル ~サタンに造られし魂~』(ビーボーイノベルズ)

雑誌掲載された二編に書き下ろしが一編、収録されております。
イラストは葛西リカコ先生です!

今回は現代が舞台のダークファンタジー。
久しぶりにエロスとアクションとをふんだんに描いてみました。
ひとの中に育つ「妄執の奇天使(マステマ)を喰らって生きる美貌の青年・御母衣(みほろ)と彼を第一級異端としてマークしてきた修道騎士・安吾。
指輪の契約で結ばれたふたりは、堕天使の引き起こす事件に挑みます。
その闘いの中で、安吾は墜死してしまうのですが……。

あとがきにも書きましたが、同世代の担当様と「私たちが十代の頃にはまったであろう世界観」をこれでもかと盛り込みましょう!との目標をたて、書いた作品です。
大人になった我々の手で、臆面も無く堂々と作り上げましょう、と。
相変わらず甘いLOVEはありませんが、
御母衣の正体に秘められた禁断の過去、
安吾とサタンの奇妙な共生関係などなど、
楽しんでもらえると嬉しいです。
(個人的には御母衣に従う狼犬アブディエルがおすすめ……)

よろしくおねがいいたします。

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