Diary

2013年の日記

2013年を振り返って。その1

  • 2013/12/30 18:56

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今年も、明日でおしまいとなりました。一年一年がどんどん早くなります。
2013年最後の更新となります。この一年もおかげさまで健康に過ごすことができました。この年になると、やっぱり健康第一だなと思います。私だけでなく、家族の健康も。無事に過ごせて感謝感謝です。
それでは、今年出た本を振り返ってみたいと思います。

■「炎の蜃気楼 幕末編 獅子燃える」
幕末編の続きでした。前巻が池田屋事件で今回は禁門の変。
龍馬や西郷、そして久坂玄瑞ら幕末ヒーローと夜叉衆が絡む話は、書いていてワクワクしました。
また幕末編は、昭和編へのつながりも深く、昭和編での景虎や直江の行動や心情の、根底にあるものが、幕末編にて描かれていると思います。合わせて読んでもらえると、より理解を深めてもらえるのではないかと。
全く関係ないですけど、再来年の大河は、久坂玄瑞の奥様が主役ですね。

■「神王の禁域」
アンコール・ワットで知られるクメール王朝をモデルにした物語でした。
三年ほど前の、カンボジアの旅で得た着想が、形にできてうれしいです。
男同士の性愛を神話的なアプローチで描くのは、自分自身の作風ともあっていると思うので、今後も機会があれば、書いていきたいと思います。
昭和編でイラスト担当してくださった高嶋上総先生と、初めてご一緒した作品でもあります。高嶋先生の描く肉体美が堪能できるので、是非!

■「まだれいなの十字架 西原無量のレリック・ファイル」
今年は半分くらい、この作品にかかりきりでした。電子文芸誌sari-sariさんで月イチ連載していたものが、秋には単行本になる、という結構忙しいスケジュールでして、長崎や山梨へと取材も四回ほどに。「無量」は下調べに手間がかかるので(読んでいるとそうは見えなさそうですが)一冊書き上げると、自分の中では、ずっしりときます。出土した遺物が現代と過去をつなぐ、というコンセプトにおいて、「世界遺産」に関わる利権などは、まさに、でした。
過去の遺物が現在を動かす、というシチュエーションには毎回頭を悩ませますが、単行本だけあって、校閲さんもしっかり入ってくださっているので、大変頼もしく思っております。(値段が少々お高い分、ずいぶん手間暇はかかっております)
今回は「捏造」事件発覚で、多少きつい展開でした。個人的には、無量と萌絵と忍のトライアングルが書いていておもしろいです。無量と萌絵の仲がちょっとずつ……本当にちょっとずつ、進展していくようないかないようなところも。忍の裏の顔も徐々に出てきましたね。睦月ムンク先生の描くイラストがロマン溢れて素敵です。
これで第一シリーズ終了です。続きが無事書けるよう、がんばりたいので、応援よろしくお願いします。

(長くなりましたので、続きます)

2013年を振り返って。その2

  • 2013/12/30 20:05

(続きです)

■「炎の蜃気楼 邂逅編 真皓き残響 生死流転」
一年ぶりの邂逅編。完結巻でした。
16年続いたとは言っても、結構、数年単位で間が空いたりしていたので、ペースとしてはゆっくりでしたが、その分じっくり書けたと思います。
四百年前という時間的な距離感を、どう表現するか、に頭を悩ませました。
邂逅編→幕末編→昭和編、と進むに従って、徐々に本編の彼らに近づいていくのが感じてもらえるのではないかと思います。
しかし時代物はやっぱり大変ですね。ほたか乱先生、大変お疲れ様でした。

■「炎の蜃気楼 昭和編 夜啼鳥ブルース」
というわけで、昭和編です。まだ書き終えたばかりですが、本当に皆さん読まれる前から戦々兢々とされているのが伝わってきたので、期待にこたえてどろどろを……と思う一方で、そこまで恐怖せずに楽しく読んでもらいたい、と言う気持ちも大きかったので、そのへんの工夫は怠りなきよう、心がけてみました。
昭和三十年代映画風味を入れてみたり、往年の少女漫画風味にしてみたり。遊び心もいれてみました。個人的に結構気に入っているのは、坂口くんです。担当さんは、マリーがお気に入りのようです。
結末は決まっているけれど、描きようによっては、どのようにも展開できる、すごく料理しがいがある物語だと思うので、頑張っていきたいと思います。

この他にも、リブレ出版さんの小説b-Boyで「人魚島」「アベル」という二作を書かせていただきました。これらはいずれ単行本になるといいなと思います。
それから、漫画原作のほうも! 連載が無事終わりました。

■「イルゲネス 偽翼の交響曲」作画・石据カチル先生
いやあ、終わりましたね。前シリーズと合わせて全8巻。
コミックシリーズは、フォンたちの軍学校時代を描くというものでしたので、軍というより学園物(しかも全寮制)でした。初々しかったフォンもすっかり成長して、たくましくなりました。
「偽翼~」では、セカンド・システムに翻弄される人造体たちの悲哀を描きたいと思っていたので、ギャビィたちとの対立や交流を通してフォンが感じ取ったものが、伝わればいいな、と思います。イルゲネスシリーズも根強いファンの皆さんから応援をいただき、ありがとうございました。
カチル先生お疲れ様でした!どんどん進化する姿に頼もしくも、わくわくしていました。カチル先生の描き出す世界は、本当に魅力的です。真摯な姿勢も。ますますのご活躍、楽しみにしております!

■「焔の柩」作画・よしゆき先生
全三巻。こちらもマッグガーデンで連載していました。イルゲネスの新シリーズと連載が重なったこともあり「多武峰洸」というペンネームを使わせてもらいました。
密林の王国に、現代からタイムスリップした少年と、その対である冷徹な王子の運命的な出会いから始まる物語でした。ちょっと少年漫画っぽい雰囲気もあって、ヒロインとの恋あり、複雑な親子関係あり、と色々膨らませる要素があったので、もうちょっと長さがあれば、じっくり描けたのに……と思うところもありますが、なにはともあれ、無事にラストシーンまでたどり着けてよかった。
よしゆき先生には、体調を崩されたり、震災の影響を受けたり……と、本当に大変だった中、よくぞ書き切ってくださったと思います。お疲れ様でした。「生きているなあ」と思えるキャラを描く、よしゆき先生の力強い筆致が魅力的でした。これを最初のステップとして、是非今後も頑張っていただきたいです。次回作も期待しております!

以上、一年間を大急ぎで振り返りました。
漫画原作が一段落しましたので、来年は小説に集中です。
昭和編を着々と進めつつ、声をかけてくださってから大変お待たせしている出版社さんでの新作や、角川さんでの単刊の新作など、すでに来年もやることいっぱいですが、一作一作を大切に丁寧に着々と、執筆していきたいと思います。

読者の皆さんには、今年一年おつきあいいただき、ありがとうございました。
私もすでに作家生活・四半世紀を目前にしてますが、何年にもわたって書いていると、読む方々もライフステージが変わっていきますよね。
そんな中で、お久しぶりの方も、中にはいらっしゃったかと思います。
人生の時々で、何度も出会えるというのは、作家冥利につきます。
(ともに年を重ね)目が肥えているであろう皆さんにも満足してもらえるような作品を書いていけるよう努力したいと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。

それでは、皆様、よいお年をお迎えください。

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