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文庫版『荒野は群青に染まりて 暁闇編』発売

  • 2025/08/22 02:48

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文庫版『荒野は群青に染まりて 暁闇編』(装画 Re°先生)
集英社オレンジ文庫

発売しました。
2022年2月に刊行した単行本の文庫化です。
(文庫化にあたり少しだけ修正を入れました)
巻末には『青春と読書』での連載時に掲載されたRe°先生の扉絵もすべて収録させていただきました。

三ヶ月連続刊行ということで9月刊で【相剋編】10月刊で【番外編(仮)】を刊行する予定です。

群青たちとのつきあいも気がつけば5年。
このシリーズはもともと昭和30年代を舞台にした【相剋編】をメインとして構想したのですが、主人公の義兄弟の出会いを終戦直後の引き揚げ中と設定したので、当時担当だったT編集長のお父さま(引き揚げを経験された)にお話を伺いにいったところ、その経験談が非常に胸に迫るものがあり、「これはちゃんと書かなければ」と思うに至りまして【暁闇編】から描くことになりました。
知れば知るほど厳しい時代。当たり前のことですが、できるだけ後世の創作物ではなく当時の写真や映像資料に直接触れるようつとめ、潜り込む気持ちで、物語を紡いだ次第です。それでも実態と比べればどうしてもどうしてもきれいになってしまう。気を抜くと現代の価値観が入り込んで主張してしまう。読むのは現代の人間だということを踏まえてもそこには葛藤がありましたが「紡ぐべきは物語、紡ぐべきは人の心」と自分に言い聞かせ、筆を進めました。(当時の本当にリアルな実態については、経験者談話やドキュメンタリー等でぜひ触れてほしいと思います)
今年は戦後80年の節目でした。
私が生まれたのは昭和44年。いま思えば終戦から四半世紀も経っていない頃でした。24年前を現在に換算すると西暦2000年頃。この年齢になると「ちょっと前」くらいの距離感です。当然大人たちのほとんどは戦争経験者でした。戦争のトラウマというものが世に生々しくありました。
終戦の混乱期も経験していないけれど、そういう大人たちの切実な言葉を受け止めながら育った世代の物書きです。自分の世代の肌感覚も大切にしようと感じました。
エンターティンメント小説の力を信じていいならば、群青と赤城、リョウや近江兄妹や仲間たちが育んでいくものを描くことで、ひとが普遍的に持つ心の有りようが浮かび上がるのではないか。
実を結んでいたら書いた甲斐があったかと。

つらつらと長くなりました。
あんまり書くと肩肘はったものになってしまいます。

暗い時代という先入観もあるかもしれませんが、読むときはどうぞ身構えることなく、ありあけブラザーズの活躍を愉しんでもらえますよう。
(本編でなかなかコミカルな場面が書けなかった分、番外編のほうではてんやわんやも書けたので10月もお楽しみに)
読んでもしお気に召したら、ご家族やお友達などにおすすめしてもらえたらうれしいです。ご感想もお待ちしております。

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