トークショー「新井素子と桑原水菜が誘う『コバルト』の世界」
- 2025/10/24 21:26
先日、読売本社ビルにて行われました、よみうりカルチャー主催
トークショー「新井素子と桑原水菜が誘(いざな)う『コバルト』の世界」
ご来場の皆様&配信視聴された皆様、ありがとうございました。
久しぶりに読者の皆様と直接お目にかかれて、とても嬉しかったです。
今回は新井素子先生との登壇とのことで!
素子先生がコバルトで出された御本はどれも、中学時代に夢中で読んだ作品であり、私がコバルト文庫という少女小説レーベルを知ったきっかけでもありました。
とても緊張しましたが、素子先生は気さくで明るくて優しくて、懐の深い方でした。素子先生の「星へ行く船」シリーズのお話や80年代のレジェンド作家の皆様とのお話は興味深く、レーベルの歴史を知るという意味でも大変貴重な機会でした。
驚いたのは、どうやら素子先生と私の創作方法は似ているかも、ということ。ぬいぐるみ遊びが小説に繋がっているという共通点が見つかり、めちゃめちゃ嬉しかったですし、自信がみなぎりました。
私の大好きな「一郎さん」のお話も(『・・・・・絶句』をぜひおすすめします)「一郎さん」の黒服が直江の源流であるという気づきも得て、震えました。
しかも遺跡発掘師シリーズを読んでくださっていたと聞き、ひいいっ!と。光栄です!
あれもこれもと思いは尽きないのですが、作家としての私の源流でもある素子先生とじかに色んなお話が出来たことで初心に立ち返ることもできました。この企画をお受けして心の底からよかった!と思いました。
素子先生、ありがとうございました!
ミラージュの話は「初期」を中心に。
ちょっと補足を加えなければ。「高耶と直江のモデルにしたような人はいますか」というような質問で、「高耶は私」と発言しましたが、あれはモニターのカバーイラストの高耶を見ていたら浮かんできた言葉なのでした。
まあ、35年のつきあいで、あの長大な小説のど真ん中にいたキャラは自分の投影というよりも自分の一部……いや一部というより私自身が「一番長く潜ったキャラ」ですから、一部というより一心同体? 私はキャラが憑依するというより、キャラに潜るタイプなので。それは直江も一緒で。(その一方で俯瞰して突き放す)
そういう意味の「私」でしたことを付け加えたく。(あの発言で、ミラージュが私の夢小説だったかのような印象を与えてしまったのでは、と後から心配になってしまいまして。そういうことではありませんので)
思い返せば、高耶のイメージには織田裕二さんとか尾崎豊さんとか、不遜で少し屈折した若者像があったので、そちらを答えればよかったのか……。
(トークって立ち止まって推敲できないからむずかしいですね)
ただ表現の主体として自分の世界を「少年」に託したほうが投影しやすいということがあったのは確かです。
懐かしいお話をたくさんできて、楽しいひとときでした。
司会進行の嵯峨景子さんは少女小説&コバルト研究の第一人者で、非常に知識豊かでよどみなく、お話も巧みで熱量高く、絶妙なフォローもあり、トークが苦手な私でも楽しくお話させていただきました。
嵯峨さんが旗振り役となって「あの頃のコバルト」の魅力を発信し続けてくださっていることは少女小説の再評価にも繋がっていると思いますし、何より嵯峨さんの熱く貪欲な姿勢に刺激を受けました。
嵯峨さん、本当にありがとうございました!
そして、この企画を起ち上げた大宅壮一文庫の皆様。
当日は大宅壮一文庫から雑誌Cobaltのミニ展示もされていて、どれもこれも懐かしく。しかもこの日のために私が1993年に出したミラージュの同人誌までゲットしてきてくださったとのことで……!(並んで展示されてました)その心意気にグッときました。
大宅壮一文庫さんでは現在、コバルト50周年企画としまして雑誌Cobalt全号展示企画を開催中(~11月15日まで)
創刊号から雑誌Cobaltをすべて閲覧できるという大変貴重な企画です。
雑誌Cobaltで青春時代を過ごされた方、ぜひぜひ足を運んでみてくださいませ。見逃した号や雑誌にしか載らなかった挿絵、様々な企画などなど、一日いても足りないかも。有料ですがコピーも取ってもらえるそうです。
私も折を見て訪問したいと思います。
大宅文庫の皆様、ありがとうございました!
トーク終了後はサイン会も。皆さんが持ってきてくださった本、35年ものの1巻から最新の「荒野は~」まで、ミラステのBlu-rayBOXブックレットやイラスト集、遺跡発掘師シリーズ……僭越ながら、自分の歴史を感じました。明らかにコバルト世代ではないであろう20代の受講者さんもいらして幅広さを感じました。
会場の熱気もすごくて、往年の「おちゃべりパーティー」を思い出しましたよ。
嵯峨さんがトーク中にちらっとふってくれた「35周年に何かやりませんか」。実現できるかどうか、いま編集部などで探ってくださっているようなので、もし何か動きがあったら、そのときはお知らせしますね。
実は当日、会場には若木未生先生も駆けつけてくださっていまして。ともに90年代を盛り上げた戦友であり、永遠のライバル。久しぶりに会えて嬉しかったし、激励も嬉しかった。
若木さんありがとう、グラスハートのドラマ化もおめでとう。これからもお互い頑張って書いていこうね。
35周年を前にこれほど初心にかえる機会はありませんでした。
素晴らしい時間でした。
皆さん本当にありがとうございました!

