Diary

『炎の蜃気楼』完結十周年

  • 2014/04/27 05:49

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今日は、『炎の蜃気楼』の完結巻が出てからちょうど十年目にあたります。
せっかくの記念日ですので、契ワインの「最終巻記念ワイン」を開けることにしました。
こちらのワイン、十年後くらいに飲み頃になるように、と作られたワインでしたので、今こそ飲み時。えいやっと開けてみました。
ミラージュのイメージアルバムで、直江の歌を担当してくださった風雅なおとさんが、ちょうどライブ配信をされてて、その中で偶然にもミラージュの曲を数曲歌ってくださったとのことで、そちらを堪能しながら、ワインも堪能。
本編を書いていた頃の様々なこと、気持ちが鮮やかに思い出されて、胸が熱くなりました。
あの頃は、十年後にまさか昭和編を書いてるなんて、思いもしませんでしたが、新たにこうして別の時代の彼らが書けて、なおかつ舞台化までしていただけるのは、書き手冥利につきます。幸せなことです。
それでも、わたしにとって、やはりミラージュは「本編」だと思います。
自分が「青春」というものを捧げた作品だったと思うからです。
パワーとエネルギーに溢れているけれど、暴れていたり歪つだったり不格好だったり、決して美しく完成された物語などではありませんでした。だから、美化するつもりは全くないのですが、作品というよりも、ひとつの生き物をみるような思いで、今もわたしの体の中に存在しています。
たまに昭和編をやってるのを知った方が「完結したんじゃないの?」とおっしゃっているのを見かけますが、ミラージュは「完結」しています。確かに。
だから「完結十周年」です。
だから、本編の「終」より先のことは、決して書きません。
昭和編は、終わっている物語の、過去を埋める物語だと思っています。
しかし、その「過去」のなんと豊かで芳醇で、物語に溢れていることか!
そういう意味では、いま書いているのは、一種の歴史小説なのかもしれません。
過去を知ることで、現在がまた違った色を帯びたりすることは、珍しいことじゃありません。ひとつの台詞に、違った意味を見いだすこともあると思います。
是非、邂逅編・幕末編・昭和編を読んだ後で、本編を読み返してみてください。
きっとよく知っている世界が、また新たな顔を見せてくれるはずです。

完結十年後の今も、ミラージュを愛してくださる皆さんに、心から感謝いたします。

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