2016年を振り返って。その1
- 2016/12/30 20:36
今年も残すところ、あと一日となりました。
新刊『炎の蜃気楼 昭和編 紅蓮坂ブルース』も無事発売となり、
ほっとしつつ、年末年始も変わらず原稿にいそしんでおります。
さて、2016年に刊行したものを、並べてみますね。
2月『炎の蜃気楼昭和編 無頼星ブルース』(集英社コバルト文庫)
『人魚島』(リブレ)
6月『遺跡発掘師は笑わない 悪路王の右手』(角川文庫)
8月『炎の蜃気楼昭和編 悲願橋ブルース』(集英社コバルト文庫)
『遺跡発掘師は笑わない 悪路王の左手』(角川文庫)
12月『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』(集英社コバルト文庫)
今年は全部で6冊刊行という感じでした。
(ラストは一応2017年1月刊という体ですが)
どれも思い入れ深いですが、『遺跡発掘師~』の東北編は、特に震災の復興発掘を描くということで、とても神経を使った分、形にできたことが感慨深く。
取材での出会いの数々もありがたかったです。遺跡発掘にたずさわる方、文化財保存にたずさわる方、現場の方々のお声をたくさん聞けて理解も深まったように思えます。
このシリーズは、現代に軸足を置きつつ、歴史や過去と向き合うストーリーなのですが、ダイナミックな大きな歴史の流れのことばかりでなく、自分の住む町の身近な文化財のこと、それを失うこと、守ること、そういうものにまで考えを深められたように思えます。
そこで得たテーマを、番外編という形で書くことにしました。
小説屋sari-sari1月号に掲載されます。こちらもよろしくです。
またミラージュの昭和編も、いよいよ佳境に。
本編でもたびたび触れてきた景虎と直江と美奈子の三人の関係に焦点がしぼられ、あらためて、彼らの道筋を体験してきました。プレッシャーも大きいので、常に戦場にいる気分ですが、最後まで書き切れるよう、体力をつけたいと思います。あと二冊。
リブレさんのほうからは『人魚島』がすてきな単行本で発売されました。
自分自身、心身ともに疲労しきって癒やしを求めていた時期に書かれたこともあって、あらためて読んでみると、火山島や海といったモチーフは、その時求めていたものなのかなと。その場にはいなくても、想像の中で自然の力に癒やされた気がした作品でもありました。黒髪褐色肌がたくさんかけて楽しかった。
また雑誌のほうでは一本、「ブラックスワン」という読み切りが書けました。
シュバルツ・ヘルツでも取り上げた冷戦終結の頃の東独がモチーフ。やはりあの時代の東欧はドラマティックです。
そしてエロスを書くと筆が鍛えられます。人間の本能と向き合い、それを描くのは大変ですが、作家には大事な作業です。
文庫書き下ろしが2シリーズ同時進行になってしまうと、どうしても、スケジュールがそれだけで埋まってしまい、なかなか新しいものや読み切りが書けないのですが、来年ミラージュが完結しますので、そのあとは『カサンドラ』的な読み切りにもじっくり取り組みたいと考えております。(その2に続きます)