Diary

霊場の風に吹かれて

  • 2014/06/26 19:15

さて、新刊の発売日まであと少しとなりました。
そんな中、取材に出かけたり、コバルトのロマン大賞の選考会があったりと、慌ただしく過ごしておりました。
取材は、東北方面に行っておりました。
東北が舞台、というのとはちょっと違うのですが、せっかく下北半島に来れたので、以前から行ってみたかった日本三大霊場のひとつ・恐山を訪れてみました。
独特の雰囲気。硫黄の香りが立ちこめて、荒涼とした白い大地に、風車がキイキイと音を立てて回る姿が、なるほど彼岸を思わせて、不思議な気分に。
でも、どこか懐かしさも感じる。

普通に観光客もたくさん訪れるのですが、独特の景観と静けさと……。そこここに死者を思う生き人の想いが溢れる特別な場所だというのが、伝わってきました。
そして、門前で食べた名物よもぎアイス(私は三色アイス)がおいしかったです。観光のご年配方にも大盛況でした。食欲は生きてる証……(笑)

選考会のほうも、無事終わりました。
今回は、三浦しをん先生と吉田玲子先生と三人体制になり、ぎゅっとアツイ感じに。
最近の傾向として(……前からかもしれませんが)応募される方が「流行と対策」的なものを、よく研究しておられるな、と感じます。いま、どういうのがトレンドなのか、そこをよく見ていらっしゃる。取り入れて書く力がある。

でも、そればかりでは物足りない。書く人には、やはり自らの「看板」がなければ。そのひとがそのひとであるゆえんを、作品から感じたいと思う。
そういった意味で、今回は手応えを感じる方との出会いがありました。期待してます。
新しい個性が世の中に受け入れられるかどうかは、神のみぞ知る、ですが、閉塞を打ち破るのは、すでにあるフォーマットから踏み出したひとであろうかと。

次からコバルトのノベル大賞がリニューアルされることになりました。
我こそは! という方々、是非、ふるって応募してください。
私も、気がつけば、選考委員六年くらいやってますが、流行やトレンドではなく、自らの作家性で勝負してくる人が増えるといいなと常々思ってます。(最終選考にあがってこれないだけで、実はたくさんいるのかもしれませんが)いざ出会った時に、そういうひとを、受け止められるよう、自分自身、研ぎ澄ましておきたいと思います。

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