Diary

文庫デビュー30周年に寄せて

  • 2020/11/02 11:58

本日、11月2日は『炎の蜃気楼』第一巻の発売からちょうど30年。
桑原水菜文庫デビューからちょうど30年となりました。

ミラージュについてはちょいちょい語ってますし、またどこかで語る機会もあると思いますので、こちらでは作家業30周年について書きますね。

気がつけば、人生の半分以上を作家として過ごしておりました。
この浮き沈みの烈しい業界で、これだけ長くコンスタントにお仕事をさせてもらえるのは本当にありがたいことです。
常々思うのは「信頼される作家」であり続けたいということで、それはお仕事をいただく出版社さんはもちろんのこと、何よりも読者さんの信頼を得つづけるというのがとても大事で、かつ大変なことでもある、と。
信頼という形自体も色々で、抽象的ではありますが。
三十年続けてきて思うのは、もちろん「期待される作家」であることは商業小説というフィールドである限り欠かせない条件ではあるのですが、それ以前に大事なのは「このひとなら大丈夫」という信頼感なのだなと。
その信頼に応えるためには、自己管理も必要ですし、心や生活が乱れないことも大事。
続ければ続けるほど、地に足をつける大切さが身にしみます。
平常心があるから、物語の中での波瀾万丈に心が耐えられるのだなと思うようになりました。
執筆する上でのこだわりは変化していきます。
吐き出し続けた時期、深掘りした時期、精度にこだわった時期……。
そうやって少しずつ作風も変わるので、読者の方が求めるものとはちがっていったりもしたことでしょう。
それでも私が作品に真摯であり続ければ、芯は変わらないはず。
そこに「桑原水菜」が「桑原水菜」であるゆえんがあるからです。
それが作家としてのブランドの根幹になるのだろうと。

長く続けていく上で、読者さんによっては「求めるものはそれじゃない」というようになる方もいるでしょう。同時に「それ」を新たな面として楽しんでくださる方もいるでしょう。新たな出会いもあるかもしれない。
大事なのは、変化を恐れず、かつ芯を据え続けること。
それなのだろうと思います。

30年で何冊書いたでしょう。130冊くらい?
どの作品もそれぞれに思い入れがあります。
読んでくださった方がいたから、続けることができました。
体力のほうは40代前半より今のほうが確実にありますが(ジム通いのおかげ)ちょっとの無理で体から怒られることも増えました。
これからはなお節制を心がけ、次の作品に集中できるよう、身のまわりも整えていきたいと思います。

そして、信頼と期待を寄せてもらえる作家でい続けられるよう。
これからも一語一語大切に書き続けていきますね。

30年間ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!

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