Diary

天使がみてるよ

  • 2009/06/19 21:17

(今日はちょっと時事問題について触れます)

臓器移植法の改正案が衆議院を通過したとのこと。
通過したA案は「脳死は人の死という前提で、年齢制限を撤廃する、家族の承諾のみで提供ができる」などで、海外に渡航しなければ移植の機会を得られなかった(しかも今後は渡航移植に規制がかかる)多くの患者さんに、国内で移植を受けられる機会が広がるのは喜ばしいことです。
日本でそれができたなら…! とずっと思ってこられた患者や家族の皆さんのことを思うと、本当に、大きな前進なんだと思います。

なのですが、提供する側は、本人の意思がなくても可…となると、自ずと(脳死状態で提供するか否か)決めなければならない家族の負担が増しますし、またそういう状況で納得できる選択がちゃんとできるかどうか、できる環境を医療側が整えられるか、……いまの段階では、難しい課題がたくさん立ちはだかりそうです。
(そうでなくても救急医療の現場は、ぎりぎりいっぱいで、臓器提供を申し出たら困惑された…というような話を聞くにつけ、それどころじゃないような今の医療環境で、本当に移植医療が進むんだろうか)
意思表示できない患者の代わりに、家族が決断しなければならない時の責任の重さには、多少身に覚えもあるので、ほんとうにこれでよかったのか、と悩む家族の皆さんの心情は、及ばずなから分かる気がします。それが脳死という難しい状態ならなおのこと。
本人の意思がなくても脳死提供ができるように、法律がなるとしたら、それによって重荷を負う家族が少しでも苦しまないよう、臓器提供を自分の問題として早いうちから考えて(応じるにせよ拒否するにせよ)前もって意思表示をしておくことが、これからますます大切になってくるんじゃないか、と。
小さいお子さんは、親御さんが代わりに考えなければならないのでとても大変だと思うのですが、できる限り、小さい子にも「こういうことがあるんだよ」という形で折に触れて教えていくことも必要かも、と。どう思う? と聞かれたら、小さい子なりに考えてみるでしょうし。
あの黄色い天使の(青いのもあるけど)ドナーカード、もう必要なくなっちゃうんだろうか…と思ったりもしましたが、そうじゃないな。
意思表示カードをもつことで、万一の時、家族が納得できる選択をする助けにはなるんじゃないか、と思いました。
そして、今後ますます移植コーディネーターの役割は大きくなっていくんじゃないかと。

私自身は「臓器提供は原則、意思ありきで」と思ってますし、A案は拙速すぎる感があるので手放しに賛成できずにいるのですが、推移を見守りたいと思います。

シュバルツを書き始めてから自ずと注目せずにはいられなくなった今回の問題……というより移植医療というもの全体、色々考えずにはいられなくなったのですが、誰もがそのあり方を否定されず、閉ざされず、前に進める解決方法を探していけますよう。

ページ移動