プレゼントを探して1
- 2010/04/26 20:32
悩ましい季節がやってきた。
春になると、僕は頭を悩ませる。
何でそんなに悩むかって? アドルフ兄さんの誕生日が近いからに決まってる。
5月1日は兄さんの誕生日。バースデーのお祝いを何にしたらいいだろう? って毎年毎年悩んでしまう。そりゃもう頭が禿げそうなほど。
今まで誕生プレゼントといえば、ずっとカードだった。カード一枚だけど毎年趣向を凝らして頑張った。そのカードもハッディングに託してたけど、今年は直接手渡しできるんだ。カードだけじゃなくて、特別すてきなものを贈りたいじゃないか!
超騎士に着任してから初めての5月1日がやってくる。
最近は、任務が終わると気もそぞろ。僕は赴任先の国で必ず兄さんにおみやげを買って帰るんだけど(あ、勿論ちゃんと任務が完了してからだ)誕生プレゼントともなると、ただのおみやげクラスじゃ駄目だ。行く先々で物色しまくるけど、決定打になるものがない。
そうこうするうちに、もう半月切ってしまった。
悩みまくる僕を不審げに見ていたのは、パートナーのケヴァンだ。
「この間から何をそんなに悩んでるんだ。アイザック」
「相談に乗ってくれるかい? ケヴァン」
僕はすぐにとびついた。もちろん素直に打ち明けた。
すると、彼は大きくため息をついた。
「なんだ、そんなことか」
「そんなことってヒドイな。大切なことだよ」
「てっきり任務のことで悩んでるのかと思ったのに」
呆れられるのは慣れたけど、そうあからさまにがっかりしなくてもいいじゃないか。
「プレゼントなんかで頭を悩ますくらいなら、自動小銃の組み立て方をさっさと覚えろ」
「もうマスターしたよ」
「嘘つけ。バラシだけだろ。テストするぞ」
「うっ。それはタンマ」
ケヴァンは、ほらみたことか、とまた溜息をついた。
「アドルフにプレゼントを贈りたいなら、超騎士としての技術をさっさと習得することだ。おまえが一日も早く一人前になることが、何よりのプレゼントだろ。違うか」
「そう……だけど」
「わかったら、ほら」
とケヴァンが僕の鼻先に突き出したのはAK47。
小銃の組み立てなんかより、兄さんの好きな飛行機のプラモデルを組み立てたいんだけどな……。
そうだ。何か、よい知恵はないか、みんなにも聞いてみよう。