嘉手納奏
「こんにちは。嘉手納奏です。
　今日は黒髪会でお花見でした。でもとっても寒くて！
　ちなみに黒髪会とは黒髪キャラで結成した集まりで、メンバーは、オレとケヴァンと山瀬と風音さん、ケイさんと榛原さん、フォンさん、そして名誉会長の仰木先輩です。
　青梅も朝から雪が降る寒さでしたが、頑張って場所とりしました。でも、そこは準備のいい黒髪会。ケヴァンがアースガルズから持ってきた『神の骸』カーペットとインカの太陽石ストーブで、黒髪会のなわばりだけ春のような暖かさでした。ケヴァンは便利道具をなんでも持ってるので、黒髪会のドラ●もんです。
　山瀬と風音さんがお弁当係。ケイさんと仰木先輩が飲み物係、榛原さんがぬか漬け係、フォンさんはスイーツ係でした。大人のみんなはお酒を酌み交わし、未成年は食べまくり、とっても和やかでしたが、国家元首がいるので警備が物々しかったです。
　オレとケヴァンは、たこやき焼き器で『闇たこやき』を作って皆に振る舞いました（中にはイカとかチョコとかキムチとか梅干しとか…）。余興ではケイさんが一人サロメを披露してくれたのですが、途中から榛原さんの駄目出しが始まり、単なる公開稽古になってしまいました。
　山瀬が持ってきたフリースのひざかけを二人でかけてたら、なんだかカップルみたいになっちゃって、皆にからかわれて恥ずかしかったです。
　トランプタイムはナポレオン大会になりましたが、権謀術数にたけた人たちの腹のさぐり合いが結構マジで怖かったです。
　来年はまた参加メンバーが増えるそうなので、楽しみです。
　とりあえず次の会合は、夏休み。海水浴に行きます。次の黒髪会が待ち遠しいです」　

嘉手納奏
「お久しぶりです。奏です。
　今日、沖山の和尚さんからどっさり柚子が届きました！
　これで明日の冬至は柚子湯に浸かる予定です。
　さて緒方家では年賀状書きが最盛期を迎えています。
　オレは病院の先生や看護婦さんなどお世話になった人たちに出すだけで、友達とは皆あけおめメールで済ますけど、ひとみ叔母さんたちは毎年たくさん書かなきゃいけないので大変です。
　さっそくアイザックさんが珍しがって興味津々です。
　元旦に届くんだよ、と言ったら喜んで、
　『僕も出すヨ！』
　と言い出したので、郵便局に年賀ハガキを買いにいきました。
　スカイツリーのがあったので、流行りモノ好きなアイザックさんはめざとくそれをゲットしてました。
　アイザックさんは日本語もだいぶ上達したので、書くのもお手の物です。時々「おめでとう」の「め」が逆さまになったりするけど、一枚一枚、一生懸命日本語で書いてます。オレが見本を書いてあげたので、文面は完璧です。
　アドルフさんやケヴァンたちに出すつもりのようでしたが、アースガルズには配達ができないので、住所は全部ミュンヘンにある騎士の館です。エアメールだから早く出さないと元旦に間に合わないよ、と脅したら、超騎士全員分、徹夜で書き上げてました。
　『カナデにも書いたから楽しみにしててね』
　とご機嫌です。同じ屋根の下なんだから、手渡しすればいいのに…と思ったけど、そこは言わない約束です。
　そして自分にも年賀状が届くのを楽しみにしてるみたいです。　　まあ、マッサージ屋さんとか美容院とかからは届くかもしれないけど（…ご優待割引付きのヤツが）それだけじゃあ可哀想なので、オレもこっそりアイザックさんあてに一枚書いて出しました。
　内海と山瀬たちにも出してくれるよう要請しました。
　元旦に喜ぶアイザックさんが今から楽しみです」

奏
「昨日は冬至でした。
　緒方家では恒例の柚子湯が待っています。
　今年は沖山の和尚さんにたくさん貰えたので、お風呂場は柚子のいい香りでいっぱいです。
　ここはひとつ、この一年、緒方家のお風呂をぴかぴかにしてくれた「お風呂場の守護神」ことアイザックさんに一番風呂を進呈することになりました。アイザックさんはこんなイベントお風呂は初めてなので大喜びです。
『本当に入っていいの？　みかんと一緒に入っていいの？』
　と興奮気味です。『みかんじゃないよ、柚子だよ』と答えたら、不思議そうにしてました。
　柚子湯初体験のアイザックさんは大変ご機嫌です。鼻歌どころか、十八番の演歌をろうろうと歌ってます。もう身も心も日本人です。
　あんまり喜ぶので更に柚子増量してあげました。アイザックさんは柚子に溺れそうになっていました。
　お風呂上がりのアイザックさんは、香りに酔ったみたいで、顔が真っ赤です。しかもニコニコして、
『変な味のみかんだったね』
　と言います。変だなあ、と思ったら、なんと柚子を食べてしまったようなのです。
『皮剥くの大変だったよ』
　そういえば、節分で豆まきをやった時、年の数だけ豆を食べると元気に過ごせると教えてあげたのですが、どうやらアイザックさんは日本の年中行事では、出てきた食材は皆、最後に食べるものと勘違いした模様です。
　いくらなんでも柚子は食べれないよなあ…。
　その後、オレも柚子湯をいっぱい楽しみました。
　風呂上がり、お互いに体の匂いを嗅いだら、すっかり柚子くさくなってて『オレたち柚子魔人だね』と笑ってしまいました。
　ケヴァンたちの分もちゃんととっておいたので、今度遊びに来たら柚子湯に入れてあげようと思います」

奏
「今日は待ちに待ったクリスマス・イブです。
　アイザックさんは昨日から隠密行動中です。サプライズを企んでいるようでしたが、オレは目撃してしまいました。アイザックさんの部屋に置かれたドン●ホーテの袋から覗く赤い服を……。
　緒方家では毎年恒例のホームパーティです。今年は内海＋山瀬とはるばる北海道から遼太郎さんも招かれて賑やかです。
　『メリークリスマース！』
　アイザックさんはやっぱりサンタの扮装でした。　
　ケーキを食べて、プレゼント交換が始まりました。『真っ赤なおはなの』と歌いながら、童心に返って各々用意してきたプレゼントを回します。『喜びました』でストップです。
　オレのところには内海のがきました。
　『わあ、神楽崎卓子・ナースバージョンだー！』
　小道具は大きなお注射という念の入れようです。男どもはどよめきましたが、山瀬はビミョーな顔をしてました。
　内海のところには山瀬のがきました。中身は筋トレグッズです。これは男子たちに鍛えろと暗に命じているのでしょうか。
　アイザックさんには遼太郎さんのが回ってきました。予想通り中身はマトリョーシカでした。しかも示し合わせたように神楽崎卓子ナースバージョンでした。全く、このしもべたちときたら…。
　遼太郎さんにはオレのがいきました。中身はもんじゃセットです。作り方が分からないというので教えて上げることにしました。
　そして山瀬にまわったプレゼントを見てなぜかアイザックさんが引きつっています。ちょっと予定が狂ったようです。箱の中身はからっぽです。どういうこと？
　すると開き直ったアイザックさんが、奥の部屋から何やら大きな段ボールを持ってきました。
『じゃじゃーん』
　中から出てきたのは、サンタ姿のケヴァン（本物）でした。
　オレと遼太郎さんは泣いて喜びましたが、山瀬だけ『…プレゼントといわれましても』と困惑しています。…可哀想だったので、マトと交換してあげました」

奏
「さて、クリスマスにうちへ遊びに来たケヴァンはその後、ジュードさんとまた師弟水いらずの温泉旅に出かけていってしまいました。今度は２００湯を目指すそうです。さすが体育会師弟…。

そして緒方家では今日は朝から大掃除です。
冬休みだというのに、六時半に叩き起こされて、ひとみ叔母さんの指揮のもと、大掃除開始です。
アイザックさんは大変重要な戦力になりました。
なにせ背が高いので、高いところは皆、アイザックさんの担当です。電気のかさからエアコンの上、食器棚の上、「アイザックさんがいてくれて本当に助かるわ」とひとみ叔母さんは大喜びしています。もしいつか帰国しちゃうことがあっても１２月２９日の大掃除の日だけは絶対来て欲しいと目がマジになってます。
オレは自分の部屋の大掃除です。
コレクションの大切なフィギュアたちをきれいなタオルで、一体一体お身拭いです。特に内海から貰った改造フィギュアは壊さないように丁寧に。
拭き終わると気のせいか、フィギュアたちの顔が輝いて見えます。
『ああ、気持ちよかった』とモカちゃんが言ってるみたいです。
ウルテアさんフィギュアの胸元とか内股とか拭う時はかなりコーフンします。刷毛できれいに細かいとこまで埃をとってあげます。頭の中は妄想でいっぱいです。ごめんなさい、ウルテアさん。
そんなこんなでフィギュアのお身拭いに二時間かけると、もうお昼です。家の中は掃除のためにいろんなものがひっくり返っているので、お昼はおにぎりをパクつきます。
気がつくと、アイザックさんがいません。
なんと、アイザックさんは町内会の大掃除にも駆り出されて、今日は一日中、お年寄りの家とか回るそうです。お掃除グッズを選ぶ目が最近やけに鋭かったのはそういうことなのか。
もういっそお掃除マイスターになったほうがいいんじゃないかと思うくらい、プロっぷりを発揮しています。
今日のお風呂は、お疲れのアイザックさんのために、お気に入りの
バスク●ンをいれてあげようと思います。

明日はいよいよお正月の買い出しです。
またたくさんお年始の客が来そうなので、おせち料理をたくさん用意しなきゃ。今年は栗きんとん係に抜擢されたので頑張ります。
みんなもよいお年をお迎えください！」

奏
「あけましておめでとうございます！

　緒方家のお正月はそれはもう賑やかです。
　というのも超騎士の皆さんがどんどんお年始にやってくるので、寝る場所もないくらいです。
　大晦日にケヴァンとジュードさんが帰ってきて、そこへ一足先に到着したグレイグさんとカサンドラさんも加わり、早速年越し宴会でした。
　オレとアイザックさんは紅白を見ながら、第３回新春モカちゃん杯に備えてデッキの調整にいそしみましたが、アイザックさんは紅白で聴いた「ばいばいばいよん」が気に入ったようで、ずっと口ずさんでいます。
　元旦には、アランさんとハッディングさんとヘルムートさんとギドさんとマリエスさんが次々とやってきました。家の前には戦車（パンツァ）が縦列駐車しています。
　緒方家のおせち料理は超騎士の皆さんに喜んで貰えたようです。特にオレの栗きんとんはお菓子マイスターのヘルムートさんの舌をも唸らせました。きんとんマイスターの称号を貰える日も遠くありません。
　お屠蘇を振る舞い、お雑煮のお餅をどんどん焼いて、あつかんをつけて、台所はてんてこまいでしたが、日本のお正月に皆は大喜びです。全員大食いなので、大量に用意したおせち料理は早々になくなってしまい、ピザをとる羽目になってしまいました。
　そして今日も昼間から宴会です。さすがにつきあいきれなかったので、オレはアイザックさんとケヴァンをつれて河原に凧揚げに出かけました。
　帰ってくると、お待ちかねのウルテアさんとアドルフ・ルドルフ兄弟が来ています！
　しかもお年玉を貰ってしまいました！　
　金髪美形効果で、緒方家は一気にパルテノン神殿かアカデミー賞の授賞会場です。神々しいやら眩しいやら。
　そして今もまさに階下では宴会中です。アランさんがそろそろカラオケに行こうと言い出したので、アイザックさんがオレの部屋に逃げてきました。山瀬呼ばなきゃ。
　明日は御岳神社に初詣に行く予定です」

奏
「御岳神社に初詣に行って来ました。
　前夜にカラオケで夜明けを見てしまったアイザックさんはへろへろでしたが、アランさんはますます元気いっぱいでした。オレはひとみ叔母さん命令で十一時には帰らされました。よかったあ。
　ちなみに一番ケロリとしていたのはケヴァンです。なんでも五分刻みの短時間睡眠をとれる特異体質だそうで、人が歌っている隙にちょこちょこ寝ていたとか。魚みたいだな。
　初詣は超騎士の皆さんを引き連れて行ったのですが、美男美女のガイジン集団は大変目立って困りました。
　でもアドルドさんが水飴を舐めている姿は微笑ましかったです。
　山瀬は今年も親類のおみやげ屋さんでお手伝いをしています。オレたちが行くと、わざわざ予約席をとってくれました。
　今年はパワースポット・ブームのせいなのか何なのか、参拝客が例年以上に来ています。石段で少し並びましたが、無事お詣りできました。ギドさんは踊ってくれました。
　山を歩き出したら彦三郎一家にも会いました。
　大きな大口真神のお父さんお母さんが歓迎してくれてビックリです。山瀬によると、彦三郎は時々山を下りてきて、みやげ屋の前で看板犬をしてくれるそうです。でも、きれいな女の人がやってくるとついていってしまうので、相変わらずだなと思いました。
　今夜はみんなで御岳に一泊です。
　夕方には内海も合流して、鷹山さんの宿坊に行きます。夕飯後、いよいよ第三回新春モカちゃん杯の開催です。超騎士の皆さんは各々デッキを持ち込んでます。アドルフさんも、たいそうえげつないと評判のデッキ破壊デッキに磨きをかけてきたそうなので、みんな戦々恐々です。
　がんばって優勝して、モカちゃんをゲットしたいと思います」
　

奏
「第三回新春モカちゃん杯の優勝者は、マリエスさんでした。
　準優勝は内海。５００ＬＰ差の惜敗です。
　オレも頑張ったんだけど、準々決勝でルドルフさんの凶悪なロックデッキの前に玉砕してしまいました…。デッキ破壊対策はしたけど、ロック対策は眼中になかったのが敗因です。悔しいなあ。
　アドルフさんを破ったのは内海でした。かっこよかったなあ！　さすが元関東地区チャンピオンです。でもマリエスさんに負けたのが余程悔しかったのか、今年は大会復帰をするんだとか。来年の王座奪取を誓ってました。

　そうそう。神社ではおみくじも引きました。
　オレは大吉です！
　ケヴァンは中吉でした。
　そしてアイザックさんは凶を引いてしまいました！
　アイザックさんはとっても落ち込んでしまいましたが『凶はなかなか引けないダヨ、ある意味運がいいんだよ』と一生懸命慰めたら、『ここがどん底、あとはあがるだけ！』と浮上しました。
　アイザックさんは打たれ強いなあと思いました。

　お正月も賑やかに過ぎ、超騎士の皆さんも各々仕事始めで、任地に戻っていきます。みんなが帰ってしまうと、家ががらんとして淋しいけれど、また来年のお正月が楽しみになりました。
　今日はアイザックさんも連れて立川にゲームを買いに行きました。軍資金はもちろんお年玉です。
　するとアイザックさんが『僕のゲームがあるよ！』と大興奮しています。ザックという名の主人公が活躍するゲームでした。めがねもしてて、そこはかとなく似てます。喜んでゲットしたアイザックさんは、いま、それに夢中です。
　オレは迷った挙げ句、人生ゲームを買いました。カードやＤＳもいいけど、みんなで一緒に遊べるボードゲームが欲しかったからです。来年のお正月はこれでみんなで遊びたいと思います」
　

奏
「そういえば、２０１１年になったのに、日記のタイトルがまだ２０１０年だなあ。
　んー……まいっか。

　連休は突然、ルドルフさんから映画に誘われました。
　なんでオレ？　と聞いたら「ひとりで行くのは憚られる」と答えます。「だったらアイザックさんと兄弟水入らずで行って来れば？」と言ったのですが、「いや、君がいい」と言います。
　一体なにを観に行くんだろう。と思いながらついていったら、
　なんと『チェブラー●カ』でした。
　ロシア生まれの有名な人形アニメです。
　どうしても観たかったそうです。
　映画は大変可愛かったのですが、隣のルドルフさんが、うっすら目に涙を浮かべているのが気になります。
　聞けば、子供の頃はオーロラの次に友達だったとか。
　ロシアの子供は皆、チェ●ラーシカで育つそうです。日本でいうドラ●もんみたいなものなのかなあ。
　どうやら子供連れを装いたかったのでオレを誘ったようですが、そこまで子供じゃないと思うんだけどなあ…と困惑しました。でも、せっかくなので、おみやげにぬいぐるみをプレゼントしてあげたら、また目が潤んでいました。
　大切そうに小脇に抱いて帰るルドルフさんは、がっちがちの凶悪なロックデッキを組む人と同一人物と思えないくらい、可愛いです。
　帰りに、うな丼を御馳走してくれました。

　そんなこんなで、楽しかった冬休みが終わっていきます。
　明日から新学期だと思うと、ああーと思うけど、アイザックさんは相変わらず毎日色々やらかすし、時々ケヴァンたちも遊びにきてくれるし、今年も賑やかな日々が送れそうです。
　また何かアイザックさんがしでかしたら、日記に書き留めようと思います。今年はどれだけやらかしてくれるか、楽しみです。
　寒くなってきたので、あったかくして寝ようと思います。こんな時、ケヴァンと一緒に寝ると、湯たんぽみたいでちょうどいいんだけどな。
　では、皆さん、おやすみなさい」