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明正堂書店アトレ上野店様主催トークイベント

レポート:垳田はるよ


2016年7月23日、明正堂書店アトレ上野店様主催のトークイベントが、マンゴツリーカフェ様にて行われました。
 桑原先生初のお茶会です!

 サイン会や先生が登壇してのトークイベントは今までにもありましたが、ファンの方々とお茶を飲みながらおしゃべりする、というイベントは初めてとのこと(※コバルトの読者交流パーティは過去にありましたが、単独では初)。しかも募集人数が30人という小規模なイベント(←ただし、会場となった店内にぎりぎりめいっぱいお客様が入れるよう、調整してくださったそうです)で、先生も緊張したご様子でした。


 開始時間が近づき会場に到着。まだ緊張モードの先生でしたが、明正堂アトレ上野店の櫻井店長とこの企画の発起人である熱血書店員・増山さんが、軽妙なトークで会場の空気を温めてくださっており、イベントはスムーズにスタート!

 まずはおみやげとして配布された『カサンドラ』の表紙イラスト(影山徹先生/画)を使った、桑原先生のサイン入りコースターの説明(こちらは明正堂様からのプレゼント!)。コースター写真

 夜の海に浮かぶアグライア号が、2枚組のコースターに! 防水加工もしてあるとのことですが、もちろん保存用とさせていただきます(笑)。
 
 そして、いよいよトークタイム。櫻井店長が代表質問をしてくださいます。
櫻井「『カサンドラ』を書いたキッカケは?」
桑原「無量の中で戦時中のスパイの話を書いたとき、担当さんから、このへんを膨らませて一冊読み切りを書いてみませんか、とお話が。その後、構想を練り、時代設定を戦時中ではなく終戦後にしました。また無量は舞台となる土地や場所をどんどん変えながら進む話なのですが、今回は『船』という場所を限定した密室を舞台に、チャレンジしてみることにしました」

 櫻井店長が「すげぇなと思った。絡み合う人間模様、誰が味方で誰が敵かわからない中で、いろんなドラマがある」、増山さんが「1回目は船上スパイアクションとして楽しんだけど、再読すると、原発・核兵器や戦争のことなどメッセージ性があって深いと思った」と感想を熱く語ってくださいました。

櫻井「書いていて楽しかったシーンや、難しかったシーンは?」
桑原「楽しかったシーンはほどんどない……(笑)。緊張感の連続でした。難しかったのは、船の話なので専門用語が大変でした。最初に造船所で船体設計をされていた方に取材させていただき、この物語の肝である『元客船で空母になった船が、その後、更に〇〇〇船に改装するというのは可能でしょうか?』と質問しました。『あり』だと答えていただいたので、これはイケると思いました(笑)」
 
 ここで先生ご持参の資料を大公開! 横浜の大桟橋のおみやげ屋さんで買ったという国際信号旗のポストカード、先生が撮影した『氷川丸』や『ぱしふぃっくびいなす号』そして青森にある某船の博物館(※ネタバレに抵触するので伏せます)での写真、極秘アイデアノートまで!
 船内の写真では「ここが二人が出会った階段」「ここで銃撃戦が!」と盛り上がりました。
 また増山さんの「考えさせられる物語でした。先生の取材力がスゴイ!」というお言葉に対しては、
「昭和28年なので、今の日本の土台を作っている最中なんですよね。(新しい科学技術に対して)夢があるし、みんなが希望を持っていた……むしろ(良くも悪くも)希望しかないみたいな時代だった。それがどうやって今に繋がっていくのかを知りたいと思った」
 とのことでした。
 
 先生がアイデアノートを取り出した瞬間には、会場から「ほわぁっ!」という感嘆ともどよめきとも言えるような声が上がりました。増山さんと櫻井店長も「我々の打ち合わせ以上のことが……!」と驚いていました。
 
 と、ここでみなさんのドリンクがそろったので乾杯をすることに。
 先生の「出港!」という声に合わせて、グラスを掲げます。
 ファンの方々はソフトドリンクだったと思うのですが、先生はビール(笑)。
「ビールを飲むと声が大きくなる(笑)」と、先生。

 ビールが似合う先生に、ファンの方々もリラックスしてきて、質問コーナーに。
ファン「『カサンドラ』の執筆時間は?」
桑原「構想1年、執筆1年くらい? 他の仕事と並行していたので、途中まで書いては止めて、という感じで中断再開を繰り返したので、時間はかかりました」
増山「読者だったら、どの登場人物がお好きですか?」
桑原「道夫が好きです。書ききやすかったので」
ファン「ああぁ!」←納得?

 そして、話題は『西原無量シリーズ』へ。なんと明正堂アトレ上野店さんは、非公式ではありますが『ほうらいの海翡翠』の販売数が日本一だとか! 拍手が巻き起こります。

櫻井「最新刊『悪路王の右手』は解決してないじゃないですか。これは最初から2巻でいこうと思っていたのですか?」
桑原「すみません(まず謝る先生・笑)。今回は長い話になってしまいそうだったので、当初の予定では一冊である程度締めて、さらに別のエピソードで次の1冊と思っていたのですが、完全に前後編になってしまいました。タイトルに反映されていないので、全然知らずに読んだ方は終わってなくて驚くかもしれませんね」
増山「いいえ、たくさん読めて嬉しいですよね?」(頷くファンの方々)
櫻井「取材旅行に行かれるそうですが、取材をしながら書くことを決めるのですか?」
桑原「取材先で題材を拾ってきます。舞台は担当さんと相談して決めて、1回目はとりあえず何も考えずに行って、そこで見聞したものを拾って、2回以降は(ストーリーに沿って)目的を持って取材します」
増山「取材先では新幹線に乗り遅れたこともあるとか」
桑原「新幹線の発車時間には、ちゃんとホームにいたんですよ! でも電車と私たちの間に団体さんがいて、その人たちの後に乗り込めばいいかと思っていたら、団体さんは次の列車を待っていたんです」
 
 ……と、そのとき「見ちゃダメー!」と先生の叫びが(笑)。
 回覧中のアイデアノートをチラッとめくるファンの方の姿に慌てた先生でした。
 アイデアノートには、落書き的なメモや、これから執筆する作品のネタも含まれているそうで、「見ちゃった?」と照れる先生がかわいかったです(笑)。

増山「話を戻しまして、『鬼の手』はどんなふうに思いついたのですか?」
桑原「地道な遺跡発掘をエンターテインメントとして描くには、主人公にインパクトが必要かと思いまして。でも、実際に起きた捏造問題のことなどもあり、デリケートな部分ではあるので、目にした方が嫌な思いをすることがないように気をつけています」
増山「私も櫻井も、萌絵ちゃんが大好きなんですけど、萌絵ちゃんをどんな女の子にしようと思っていたのですか?」
桑原「専門的な世界との橋渡しをする元気な子を書きたいと思ってたんですけど、ウザいって言われるんですよね……」
増山「そんなことないですよ! すごくかわいいです!」
桑原「漫画で、睦月先生が描いてくださった萌絵はかわいいんですよね。ウザくないんですよ。その差はなんだろう(笑)」
 
「萌絵ちゃんのことはかわいいと思うけれど、無量と忍の間で揺れているところはちょっと……」という櫻井店長に、「あれはあれ、これはこれ」と言い切る増山さん(笑)。  先生も「本気で揺れているわけじゃないんです。イケメンに目がないだけ」と女子の心を代弁していました(笑)。

櫻井「言える範囲で、後編の見所を」
桑原「後編はぐっと話が広がるので『おっ、ここまで行きますか』と驚いてもらえたら、と思ってます」
増山「東日本大震災にも触れていますが、重いテーマも避けて通れない、というお気持ちで?」
桑原「そうですね。次は東北を舞台に、と思ったときに、触れないわけにはいかないと思いました。復興発掘や文化財レスキューのことでは、地元の関係者の皆さんから直接お話を伺うこともできたので、私自身も貴重な体験ができたと思っています」
 
 終わりの時間が近づき、せっかくのチャンスなので質問を、と促してくれる増山さん。
ファン「書いてみたい舞台は?」
桑原「何箇所か候補はあるんですけど、水中遺跡。湖や海の中に遺跡があるんですけど、それを書いてみたいです」
ファン「萌絵ちゃんが好きなんですけど、次回、暴れる予定はありますか?」
桑原「2回くらい(笑)。萌絵ファンは本当にありがたいです」

トークイベント看板 ここでトークタイムは終了し、15分の休憩後、サイン会という流れに。ただ、トイレの場所を説明されても誰も席を立たず、みなさん周囲の方とおしゃべりしたり、座席を回っている写真を見たり……。
 先生も座席を順番に回り、7、8人ごとにアイデアノートの解説をしたり、ちょっとした質問に答えたりしていました。実はこの15分がファンの方々が一番リラックスなさっていたかも!? 「きゃ!!」と盛り上がるグループあり、ノートを広げるためにテーブルを拭くグループあり、隣のテーブルの人に先生の言葉を伝える方もいたりして、本当にほんわか温かな15分でした。
 
 サイン会は、お一人お一人と会話ができるくらい、たっぷり時間を取って行われました。みなさん、思いの丈をぶつけることができたご様子でした。
 そして『プレゼントはお手紙のみ』というルールがあったため、終了時には封書の山が!

 最後の方のサインを終えて会場を出るときには、通路で20人くらいの方々がお見送りをしてくださいました。
「出待ち!?」と驚きつつも、通路の端で邪魔にならないように待っていてくださった方々に、先生も明正堂書店のスタッフの方々も感激。
 手を振りあってお別れする、充実したイベントでした。

 打ち上げの席で「ファンの方の『圧』がすごかった。またこういう機会があったら、ぜひ参加させてもらいたい」と語ってくれました。
 参加してくださったファンの皆様、企画してくださった明正堂の皆様、そしてマンゴツリーカフェ様・アトレ上野様、ありがとうございました。
 今回ご参加できなかった方々も、ぜひ次の機会をお待ちください!

  • 2016.8.23 更新

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